Project/Area Number |
00J09538
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
仏語・仏文学
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高倉 康行 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2000 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2002: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2001: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2000: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | フレデリックの好奇心 / 霊肉の相克 / 関心の拡散性 / 反復 / フレデリックの特異な受動性 |
Research Abstract |
フローベルの『感情教育』において、主人公フレデリックが、アルヌー夫人に対して抱く2つの相反する感情、すなわち、清らかで精神的な愛情と肉体的欲望という、2つの心が取り結ぶ関係の多様性を分析した。そして、この関係を複雑なものにしているのが、夫人に関わる事物に対する、フレデリックの好奇心であることが明らかになった。つまり、そうした事柄への関心が強い時にのみ、彼の欲望は抑えられ、その結果、純粋な感情が心を支配するかにみえるが、その関心が弱まる時、彼の欲情は高まるのである。こうして、フロベール以前には、悲愴な心理的葛藤として描かれることが多かった、霊肉の粗克というテーマは、フロベールに至って、そこに好奇心という第3の項が加わることにより、その対立の構図そのものを皮肉る、批判的な視点をもって描かれるようになったことを、2002年度日本フランス語フランス大学会秋期大会において発表した。(題目:フロベール『感情教育』における愛の諸相と意味作用について) また、上の分析で明らかになったことの1つである、アルヌー夫人からその周囲へと拡散してゆくフレデリックの関心の特殊性が、前年度に分析の対象となった、「現実」に生起する出来事に対し、受動的かつ敏感に反応せずにはおれない、主人公の特異な感覚に通じるものであるという、総合的な視点から、その極度に受動的な特質が、夫人との恋の物語における種々の反復現象を、ひいては作品そのものの意味作用を生み出してゆく様を明らかにした。そして、その成果は、『仏語仏文学研究』において発表された。
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