Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
今年度の研究成果は主に次の2つである。1)orbifoldにおけPP-Wave解の研究2)曲がった時空を記述し、厳密に解くことができる超弦理論のモデル(Russo-Tseytlinモデル)におけるopen stringの研究。前者では、最近提唱された超弦理論のPP-Wave解とゲージ理論の双対性をorbifold理論に適用して超対称性が少ない場合にも双対性があることを示した。これによって、twisted sectorという弦理論に特有な概念が、ゲージ理論からどのようにして得られるか理解できた。さらに同様の議論をtype0理論とよばれる超対称性のない弦理論に適用し、ゲージ理論の演算子と弦のスペクトラムとの対応を示した。このとき、type0理論のPP-Wave解を考えるが、理論のなかに含まれるタキオンがフラックスのパラメーターを大きくすると徐々に安定化されるという現象を見出した。さらに、このような弦理論の無矛盾性を理解するためにModular不変性がどのように実現されるのか調べた。後者では、昨年度のMelvin背景における超弦理論の研究に引き続き、時間方向も曲がった厳密に解けるモデルを考え、その背景におけるD-braneを考察した。このとき、Melvin背景とは違い、原点から動けるD-braneが任意のパラメーターの場合に存在することが分かった。この結果は、超弦理論からみた幾何が、Melvin背景の場合とは大きく異なることを示唆する。さらに、このD-brane上のopen stringのスペクトラムを調べ、背景が曲がっている効果を読み取った。この時、弦理論特有の補正が大きく作用し、そのせいで、D-braneが探知する時空の特異点が解消される可能性が見出された。また、この理論のPenrose極限を考察し、それがNappi-Wittenモデルで記述されることを示した。この時興味深いのは、もともと超対称性がなかった背景が、極限をとると16個の超対称性を有する現象がことである。また、似たような現象が、他の背景の場合にも起こることも示した。
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