Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
アミタケのマイクロサテライトマーカーの開発広島県加計町内のアカマツ天然林に試験地を設定し、地掻きや除伐などの林内施業が外生菌根菌であるアミタケの発生動態と遺伝構造に及ぼす影響を明らかにすることを目的に、試験地においてアミタケの発生状況の調査と菌株の収集を昨年度まで行った。遺伝構造の解析手法として、対峙培養とISSR多型解析法を用いたが、識別能力に限界がある可能性が考えられた。そこで、現時点で最も識別能力が高いとされるマイクロサテライトマーカーをアミタケについて開発することを目的に、suppression PCRを用いた方法により、マイクロサテライト領域の単離を試み、プライマーを設計してマーカーとしての有効性について検討を行った。その結果、CA、CGA、CCA、CAGをそれぞれモチーフとするマイクロサテライト領域を単離することが可能であり、多型の見られる遺伝子座も存在し、マーカーとしても有用であるものと考えられた。ヌメリニガイグチの菌根の確認と菌根合成外生菌根菌とされているヌメリニガイグチは、純粋培養下で子実体を形成することが昨年度までの研究から明らかにされており、今後、外生菌根菌の子実体形成のメカニズムを明らかにする上で重要な系となるものと考えられる。しかし、本菌が形成する外生菌根を実際に確認した報告はないことから、本菌が外生菌根性であることの確認を目的として、昨年度に引き続き、野外と室内で実験を行った。茨城県真壁町内のアカマツ-コナラ林試験地を設定し、試験地内で発生した子実体直下の土壌サンプルから菌根を採取して外部形態に基づいてタイプ分けを行ったのち、それぞれのタイプの菌根からDNAを抽出し、PCR-RFLP法によってヌメリニガイグチと考えられる菌根タイプを昨年度に引き続いて探索した結果、ヌメリニガイグチの菌根を確認し、本菌が外生菌根菌であることが示された(以上、投稿準備中)。さらに、コナラの無菌根菌苗を作成したのちヌメリニガイグチの胞子懸濁液を接種することで、菌根の合成を試みたものの、菌根の形成は接種6ヶ月後までは確認されなかった。siderophoreの産生能力とMMN培地上での成長の比較昨年度のsiderophore産生能力を比較した菌株を用い、鉄欠乏の起こると考えられるMMN培地上での成長を比較した結果、産生能力とほぼ対応した成長を見せることが確認された。