Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
当初の研究目的は、硬X線領域における宇宙X線背景放射が、クエーサーなどの遠方の暗い点源(活動銀河核)の重ね合わせで説明できるかどうかを検定することである。そのために、Astro-E衛星に搭載された硬X線検出器(HXD)の観測データを用いる予定であった。しかしながら、Astro-E衛星の軌道投入が失敗したため、諸外国の他のX線衛星のアーカイブデータを用いることで補い、その解析システムの構築を進めてきた。その結果、硬X線においては十分な感度では当初の目的を達することができなかったが、特にChandra衛星とXMM-Newton衛星のアーカイブデータを用いて、宇宙X線観測の最先端の研究として、近傍銀河中に存在する大光度X線源の系統的な解析を行なうことができ、その結果を論文にまとめた。今現在、投稿する作業を行なっている。その解析結果の途中経過については、日本天文学会(秋)において発表を行なっている。また、去年度より引き続き、2005年に打ち上げが予定されている、Astro-E衛星の復活ミッションである、Astro-EII衛星搭載の硬X線検出器や、さらに、その次世代衛星に搭載されることが期待されており、硬X線に感度を持つ検出器としては新型である、テルル化カドミウム(CdTe)半導体検出器の開発、較正にも積極的に参加してきた。