1930年代後半から1970年代半ばアメリカ写真におけるパラダイム・シフト
Project/Area Number |
00J09816
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
美学(含芸術諸学)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
日高 優 (江口 優) 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2000 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2002: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2001: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2000: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | アメリカ文化 / 表象 / イメージ論 / 写真史 / ドキュメンタリー / 記憶 / 美術館 / 身体 |
Research Abstract |
研究実施計画に基づき、60年代後半から70年代に焦点を当て、記録から記憶へアメリカ写真のパラダイムがシフトしてゆく経過を、具体的作品とつき合わせることによって検証した。50年代半ばまでの「ドキュメンタリー・フォトグラフィ」の成功は、言説に拠ってアメリカ写真を主導していったニューヨーク近代美術館における<ファミリー・オブ・マン>展の観客動員数の多さや、『ライフ』誌型フォト・ジャーナリズムの隆盛に見られたが、60年代に入り、性や肌の色の社会的差異や自由を巡る闘争が噴出するにつれ、従来の公論的な「ドキュメンタリー」の手法や美術館のプロパガンダ的役割に対する疑念が生じ、美術館やジャーナリズムの制度外から若手写真家たちが登場してきた。具体的にはスティーブン・ショアやウィリアム・エグルストンなど、以前は芸術写真とは認定されていなかった「カラー」の魅力に着目し、自己のパーソナルな経験を重視してカラー・イメージを積極的に提示した<ニュー・カラー>の写真家たちを中心に分析した。彼らは後に逆に美術館に取り込まれてゆくが、その経過も押さえることによって、写真の言説を巡るポリティクスを確認することができた。<ニュー・カラー>の登場は、雑誌やカラーテレビの流すカラー・イメージが氾濫し始めたことを背景にしている。観者の「心的フォーカス」といった、写真原理と写真読解を絡める近年の議論を参照しつつ、これらの写真家が日常において目にするイメージを積極的に取り込みつつ、ファースト・フードのロゴマークなど、資本主義システム下において共有される記号の経験や記憶を軸に、パーソナルな眼差しで世界を切り出していったことを検証した。特に新たな知見として、この時期、<現実>よりも<イメージ>が写真家や観者の世界や記憶に作用するという、<イメージの出来事>が噴出してきたことを確認することができた(学会誌に成果を発表)。
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Report
(1 results)
Research Products
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