Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
次世代自動車用動力源として期待の高まる固体高分子型燃料電池であるが,その大量導入を達成するためには高性能化・低コスト化の実現が必須となる.本研究では燃料電池内での根本的な現象である原子スケールでの物質輸送現象を解明し,それらの知見に立脚した設計指針を提案することを目的として研究を遂行した. 昨年度では,電池性能に多大な影響を与えるカソード側Pt触媒のCu, Ni, Co, Feによる合金化により,触媒の高活性化が実現できることを発見した.しかし合金化による高活性化のメカニズムに関しては不明であった.本年度では,触媒能の本質となる電子構造まで定量的に解析することが可能な第一原理分子動力学法を適用し,カソード触媒反応機構と合金効果の解明を行った. 有限温度での第一原理分子動力学法を用い,原子スケ-ルでの界面反応経路は,O_2→O_2(ad)→HO_2(ad)→H_2O_2(ad)→H_2O(ad)+OH(ad)→2H_2O(ad)→2H_2Oとなることが明かとなった.さらにこれらの反応経路に対してポテンシャルエネルギーを算出したところ,Pt上においては最終過程のH_2O(ad)の脱離過程が0.73eV(実験値0.65eV)という最大のポテンシャル障壁を有することが判明し,OH(ad)等に代表される酸化種による被覆率の増大が反応速度を低減させる可能性が指摘された.また,Pt-X(X=Cu, Ni, Co, Fe)合金上においてはH_2O(ad)の脱離過程のポテンシャル障壁が0.15eV程度も低下する現象が発見され,これらの合金上においてカソード反応速度が増大する要因が,H_2O(ad)の脱離促進による被覆率の低下によるものであることが判明した. 以上から,合金化による反応活性の増大のメカニズムが明らかになると共に,高活性カソード触媒の開発にとってH_2O(ad)・触媒間相互作用の低下が重要であると言う設計指針を得た.
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