Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
1.空間の変化が空間的サインとして機能し、レジビリティに貢献しうる可能性について検討するために基本的な形態が同一の実在街路を歩行する実験を行い、そこに存在する空地等の空間の有無による人間の行動の変化を比較する実験から得た認知地図のデータ解析を行った。結果、空地はその種類や配置によって認知のタイプが異なり、視覚行動が少ないものが存在することが分かった。視覚行動の多い、付属的サインに近い性質を持つと考えられるものと、視覚行動の少ない、歩行によって展開する空間の変化が目印となるという、いわば空間構造を捉えるような環境視に近い認識タイプの空地である。これら空地の性質を踏まえた上で、的確な配置を検討することは、格子状街路を多く含む都市の構造を大きく変更せずに、アメニティとレジビリティを同時に満たす計画に有効な方法になることが分かった。2.CGによる迷路探査によるラテラリティと空間認知能力との関連を探ることを目的とした実験を行い、認知地図のデータ解析を行った。結果、右脳優位型は不規則に曲がった街路において、経路角度、直線距離、直線角度が左脳優位型より誤差が小さい。アンケートの結果でも「道路の幅」と「分岐」の利用が高かった。これは空間の変化を読み取り目印とする右脳優位型には様々に変化する不規則に曲がった街路のCornerは目印として利用し易かったことを示し、直線角度の正確さは、Cornerごとに異なる経路角度の情報を関連づけて認識していた可能性を示している。右脳優位型の被験者は視覚のみの案内で、そのレジビリティを理解できる属性であり、CADの援用による設計に適した特性を備えていると考えられる。左脳優位型の被験者は不規則に曲がった街路での距離の把握が非常に困難になると予想されるので、CADの援用による設計にあたっては、正しい認識を得るための補正が必要であることが分かった。
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