Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
過去の火山活動と気候変動との関連の解明を目的として、南極ドームふじ2503m深層コアに観察された25の火山灰層の起源を主要・微量元素化学組成に基づいて推定した。主要および微量元素化学組成は、それぞれ電子プローブマイクロアナライザおよびレーザーICP質量分析計を用いて求めた。これらの火山灰は、主要元素組成に基づくと、(1)ソレアイト系列玄武岩〜デイサイト、(2)カルクアルカリ系列安山岩、(3)アルカリ系列の中性岩。また、これらの火山灰には粒径10μm以上のものが多いことから、給源は南極あるいは南極近傍の火山であると考えた。そこで、南半球中緯度以南の火山麓で採取された火山灰の主要元素組成に基づいて、(1)〜(3)に属する火山灰の給源は、(1)サウスサンドウィッチ諸島の火山、(2)サウスシェトランド諸島あるいはアンデス山脈南部の火山、(3)マリーバードランドあるいはヴィクトリアランドの火山、であると推定した。残りの5層に含まれる火山灰は、粒径10μm以下のものが主であった。このことから、これらの火山灰は、南半球中緯度から北半球低緯度に位置する火山の大規模噴火に起因するものと考えた。次に、微量元素組成(ここでは希土類元素)に基づいて、(2)および(3)に属する火山灰は、それぞれサウスシェトランド諸島の火山およびマリーバードランドの火山に起因することが明らかになった。