Wntシグナル伝達経路の異常による癌発症の分子機構の解析
Project/Area Number |
00J60809
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Developmental biology
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
佐藤 清敏 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2000 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | ICAT / β-カテニン / Wnt / TCF |
Research Abstract |
Wntシグナル伝達経路はショウジョウバエからヒトに至るまで広く保存されており、発生、形態形成に重要な役割を果たしている。また、このシグナル伝達経路の異常は大腸癌などのヒト腫瘍の発症にも関係していることが明らかになり注目を集めている。分泌性タンバク質Wntが細胞質内のβ-カテニンの蓄積を引き起こし、蓄積したβ-カテニンはTCF/LEFファミリーの転写因子と結合して核へ移行し標的遺伝子c-myc、cyclin Dの転写活性化を引き起こすと考えられている。一方、大腸癌の癌抑制遺伝子APC産物はβ-カテニンの分解を誘導することによってWntシグナル伝達経路を負に制御している。 我々の研究室ではWntシグナル伝達経路の解析の過程で、β-カテニンと複合体を形成する新規タンパク質ICATを見出した。TCF/LEFファミリーは単独では転写活性化能をほとんど示さず、β-カテニンと結合してはじめて転写活性化能を持つが、ICATはβ-カテニンとTCF-4の結合を拮抗阻害することで標的遣伝子の発現を抑制した。また、アフリカツメガエルの胚にICATのmRNAをインジェクションしたところWntシグナルが引き起こす背側の軸形成が阻害された。以上のことからICATはWntシグナル伝達経路を負に制御する極めて重要な分子であると考えられる。 遺伝子の機能を本質的に解明する上で、その遣伝子を欠失したマウスの解析は必要不可欠である。私はES細胞での相同組換えを用いてICAT欠損マウスの作製に成功した。今後、Wntシグナル伝達径路が引き起こす発生、形態形成におけるICATの役割を解析し、ノックアウトマウスにおける癌の発症率および癌化に至るシグナル伝達経路の分子機構を明らかにする予定である。これらの知見は癌の発症機構の理解に大きな進展をもたらすことが期待できる。
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Report
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Research Products
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