Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
aPKCの線虫ホモログPKC-3の結合タンパクとして同定したプロテアソームサブユニットRPN-2は、そのRNAi胚の分裂軸方向の異常がpkc-3 (RNAi)胚と類似することから、PKC-3と同様に、細胞極性形成と引き続く非対称分裂を制御していることが考えられた。今年度の極性タンパクの局在(PKC-3も含む)の解析からrpn-2(RNAi)胚では、これまでに知られている極性の喪失とは異なり、本来極性化せず等分裂するべき細胞に異常な極性化を引き起こし、分裂も非対称になっていることが明らかとなた。一方、本来非対称分裂する細胞には顕著な異常は見いだされなかった。同様の表現型は、プロテアソームの他のサブユニットでも見られることを明らかにし、RPN-2単独なものではなく、プロテアソームの表現型であることが示唆された。他方、細胞分裂期の進行に、プロテアソームと同じ経路で働くanaphase promoting complexの発現喪失胚の表現型とは異なることを確認し、分裂期の進行異常に付随する二次的な表現型ではなく、プロテアソームの機能喪失によって直接引き起こされる異常であると考えられた。以上の、プロテアソームの発現喪失は異所的な細胞極性化および非対称分裂を引き起こすという結果から、野生型胚には細胞の等分裂を制御する機構が存在するという、これまでに注目されたことのなかった機構があることを示し、その経路にプロテアソームが関与していることを明らかにした。他方、RPN-2特異的抗体の作製に成功し、内在性タンパクは細胞質、分裂期の核周辺、そして細胞膜に局在していることを明らかにした。このうち細胞膜の局在はPKC-3の既知の局在と一致するので、この部分において共局在する可能性が示唆された。