イノシトールポリリン酸ホスファターゼによる癌抑制機構の解明
Project/Area Number |
00J61103
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Cell biology
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
伊集院 壮 東京大学, 医科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2000 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | SKIP / PI3キナーゼ / インスリン / 骨格筋 / グルコース代謝 |
Research Abstract |
ホスファチジルイノシトール三リン酸(PIP3)を脱リン酸化するホスホイノシチドホスファターゼ(PIP3ホスファターゼ)は細胞増殖や癌化、そして骨格筋における糖代謝を負に制御する。PTENはPIP3ホスファターゼの代表的な分子であり、癌患者において一塩基変異(SNPs)が数多く認められる癌抑制遺伝子である。私が単離したPIP3ホスファターゼSKIPは骨格筋や腎臓に多く発現が認められる分子である。今回私は、CHO細胞を用いた実験によってSKIPがインスリン刺激によって産生されたPIP3を速やかに脱リン酸することによって、細胞増殖を負に制御することを明らかにした。これはSKIPがPTENと同じく、癌の原因遺伝子であることを強く示唆している。また、癌細胞におけるSKIPのSNPsを検索し2種類の変異を同定した。これらの変異はSKIPの刺激依存的な細胞膜への移行に必要なドメイン中に含まれていた。 骨格筋由来のL6細胞における実験では、インスリン刺激によるグルコーストランスポーターGLUT4の細胞膜への移行とそれに伴う細胞内へのグルコースの取り込み、グリコーゲン生成を顕著に抑制することを明らかにした。SKIPは骨格筋組織に大量に発現が認められるホスファターゼであることからも、SKIPが実際に生体内で糖代謝を負に制御していることを強く示唆していると言える。 さらに、SKIPがインスリン刺激依存的にGLUT4同様ゴルジ体から細胞膜への速やかな移行が起こることも明らかにした。この移行にはSKIPのC末端領域が必要であり、この部分に結合する複数の分子を同定した。細胞内の小胞の輸送にはイノシトールリン脂質代謝が必須であることから、SKIPがGLUT4の細胞膜への移行を直接制御することが糖代謝を負に制御する原因であると考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)