Project/Area Number |
01510106
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
社会学(含社会福祉関係)
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小谷 典子 山口大学, 人文学部, 助教授 (60117083)
|
Project Period (FY) |
1989
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
|
Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1989: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
|
Keywords | 旧産炭地域 / 炭鉱住宅 / ハウジング / 生活構造 / コミュニティ・モラ-ル / 社会的ネットワ-ク / 社会移動 / 炭住コミュニティ |
Research Abstract |
かつて福岡県の筑豊地域は、北海道と並んで日本有数の産炭地域であったが、今日すべて炭鉱は閉山され、炭鉱住宅(炭住)から構成される生活の場としてのコミュニティのみが残存している。これらの炭住コミュニティは閉山後も、コミュニティ内の緊密な人間関係に支えられて、高いコミュニティ・モラ-ルが持続されていた。しかし時間の経過とともに居住者の社会移動によって生活構造は多様化し、コミュニティは変容しはじめる。 本研究の結果、炭住コミュニティの変容過程は、(1)炭鉱閉山時のわが国全体の経済状況、(2)閉山企業の規模と地域政策、(3)炭住コミュニティの地理的条件、(4)行政の対応が、炭鉱離職者の転職可能性を左右し、さらに(5)炭住コミュニティの組織力、(6)居住者の生活構造と生活態度、などの諸条件によって多様化することが明らかとなった。(具体的には、北海道美唄市の三井美唄鉱業(昭38年閉山)と美唄炭鉱株式会社(昭47年閉山)との対比と、昭62年三井砂川鉱業所の閉山した上砂川町におけるコミュニティ再編成の開始が、それを端的に示す) また昭31年に閉山した福岡県直方市の旧木曾鉱業の炭住コミュニティにおけるインテンシ-ブな調査結果を、10年前の結果と比較したところ世帯主の高齢化、女性世帯主と第二世帯主の増加、住宅転売による新規来住民の流入によって、同質的な炭住コミュニティは異質化してきている。端的にはコミュニティ・モラ-ルが著しく低下し(平均スコア3.23→2.96)、その背景となる生活構造の多様化と、社会的ネットワ-クの脆弱化が指摘された(親しい近隣なしの比率3.3%→32.4%)。 大都市コミュニティに比べれば、はるかに強い団結力を示していた炭住コミュニティも、閉山後30年以上経過すれば、エイジンブと移動の分離効果によって、解体しつつあることが明らかとなった。
|