ナラ林帯における先史時代の植物性食料資源の集約ー北海道を中心としてー
Project/Area Number |
01510251
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
考古学(含先史学)
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Research Institution | History Museum of Hokkaido |
Principal Investigator |
山田 悟郎 北海道開拓記念館, 学芸部, 学芸員
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | コナラ亜属 / ミズナラ / キハダ / 縄文早期 / クリ / 縄文前期後葉 / 帯広市八千代遺跡 / 木古内町新道4遺跡 |
Research Abstract |
北海道内の先史時代の遺跡から出された植物性遺物(堅果・果実・種子等)の確認と集成作業を行い、特にコナラ亜属(ミズナラ・コナラ・カシワ)のドングリとクリの利用開始時代に焦点をしぼって調査研究を行った。 コナラ亜属のドングリについては、帯広市八千代遺跡(縄文早期)からミズナラの子葉とキハダの果実が出土しており、早期の初め頃からミズナラのドングリが食料として利用されていたことがあきらかとなった。食用にあたっては煮沸によった加熱処理によるアク抜き処理を行っていたというよりは、キハダ等の果実や動物性蛋白・脂肪をともに煮た、アイヌ民族にみられる利用方法をとっていたことが考えられる。ミズナラ等のドングリが出土した縄文時代早期の遺跡は、他に豊頃町高木1遺跡、札幌市S256遺跡がある。以後、アイヌ文化期の遺跡(中世)まで、ドングリが食料資源の一部として利用されていた。 クリの堅果は縄文前期後葉(サイベ沢I、II式土器あるいは円筒下層c,d式土器)の木古内町新道4遺跡、鶴岡2遺跡のフラスコ型ピット、住居址内から初めて出土する。これは津軽海峡を挟んだ対岸の、青森県内では最古の出土例となっている。青森市浪館平岡遺跡(円筒下層c,d式士器)とほぼ同時期の出土例で、青森県内での出現時期と時間差がなく道内に達していたことがあきらかとなった。クリは北海道に自生していたものではなく、本州から持ち込まれたもので、以後、中期末頃までには道尖部の登別市付近にまで分布を拡大し(同市千歳5遺跡)、後期から晩期初頭頃までに千歳市や(美々4遺跡)、小樽市(忍路さ場遺跡)付近まで達していたことがあきらかとなった。その背後には、人間による保護管理や移動があったと推定される。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)