Twin型電子受容体ならびに錯体の合成と物性に関する研究
Project/Area Number |
01540412
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
有機化学一般
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三津橋 務 東京大学, 理学部, 助手 (30011539)
|
Project Period (FY) |
1989
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
|
Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
|
Keywords | 有機電子受容体 / Twinwe型電子受容体 / 有機電導体 / TCNQ / OCNAQ |
Research Abstract |
TCNQ(テトラシアノキノジメタン)は電導性錯体の作製に最も優れた有機の電子受容体と見做され、これまで数多くの錯体の構造や物性が報告されているが、その一次元カラムに付随する制約はこの種の受容体研究の進展を阻んでいる。そこで次元性を高めるための一つの共役系を通して二個のTCNQを連結させたTwin型構造の受容体の合成を思い立ち、基礎的な知見を得る目的から最も単純な化合物としてOCNAQ、つまりアントラセン骨格の両端がTCNQ構造を有するものを選び合成した。数年前からこの新型電子受容体ならびにこれと多種の電子供与体との錯体について各種の物性を検討し、今年度をもってこの研究は完了した。主な結論を以下に列挙する。(1)OCNAQはTCNQよりも電子受容性が強く、電子が1個完全に入った状態でもカラムを形成する。(2)各種の電子供与体と作用して容易に錯体を与るが、再結晶法で良好な結晶が得られたのはEt_4N塩と(Et_4N)_2の二例のみである。TTF系統の供与体との良好な結晶は電解法で得られた。(3)分子内の立体障害に基づく非平面性の故に、OCNAQの分子間相互作用はTCNQより弱い。(4)錯体の伝導度は最大で役50Ω^<-1>cm^<-1>(90K)程度であり、金属性を示す錯体も得られた。(5)最も重要な知見はカラムの形成様式についてである。分子内の両TCNQが共にカラムの形成に与える様式として一次元、二次元カラム、計3通りのものが可能であるが、X線解析によりこれら3種の様式を示す錯体の存在が全て確認された。これに対して、TCNQの一方だけがカラムの形成に関与し他方はこれに与らない結晶構造の錯体は見当たらず、そのような不完全な相互作用が不安定で存在しにくいという結果が得られたことは今後Twin型TCNQ化合物をデザインする上で極めて基調であり、現在この線に沿って高次元性の錯体形成が期待される電子受容体の合成を進めている。
|
Report
(1 results)
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 三津橋務: "A Twin-TCNQ-type Acceptor: Synthesis of 11,11,12,12,13,13,14,14-Octacyano-1,4:5,8-anthradiquinotetramethane and the Structure of Its(1:1)Tetraethylammonium Salt" J. CHem. Soc., Chem. Commun.810-812 (1987)
-
-
-
-