カチオンラジカルの結合開裂による新規フリ-ラジカル発生法の確立
Project/Area Number |
01540444
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
有機化学一般
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Research Institution | Gunma National College of Technology |
Principal Investigator |
赤羽 良一 群馬工業高等専門学校, 工業化学科, 助教授 (70184091)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | カチオンラジカル / フリ-ラジカル / カルボニウムイオン / ピリリウム塩 / 光電子移動反応 / 光酸素化反応 / 炭素ー炭素結合開裂 |
Research Abstract |
ジフェニルアセトアルデヒド、〔1〕、ジフェニルアセトフェノン〔2〕、およびトリフェニルアセトフェノン、〔3〕、を主な基質として、2、4、6、ートリフェニルピリリウム塩(TPP^+X^-)を電子受容性増感剤として光酸素化反応を試みたところ、下記の結果が得られた。〔1〕、〔2〕、〔3〕いずれの場合にもベンゾフェノンが高収率で得られ(ガスクロマトグラフィ-条件下)、〔2〕の場合、対イオンがX^-=BF_4^-のときはフツ化ベンゾイルも高収率で生ずることがわかった。興味深いことに、X^-=PF_6^-とすると、ベンゾフェノンの収率は変化しないが、フツ化ベンゾイルの収率は大幅に減少し、かわりに安息香酸が良好な収率で得られることを見い出した。同様に、〔3〕の場合も、X^-=BF_4^-のときは、ベンゾフェノンの他にフツ化ベンゾイルが主生成物として得られた。以上の結果は、〔2〕を例にとると以下のように解釈される。すなわち、光電子移動反応により生じた〔2〕のカチオンラジカルの炭素ー炭素結合開裂反応によりジフェニルカルボニウムイオンとベンゾイルラジカルが生じ、生じたベンゾイルラジカルは、X^-=BF_4^-のときはこれと反応してフツ化ベンゾイルを与え、X^-=PF_6^-のときは主として系中の酸素と反応して安息香酸を与える。一方、ジフェニルカルボニウムイオンは、光電子移動により生じたピラニルラジカルから電子を受け取りジフェニルメチルラジカルとなり、これが酸素と反応して最終的にベンゾフェノンを与えると考えられる。 以上のように、本研究は、カチオンラジカルを経る新規フリ-ラジカル発生法を見い出すと同時に、ラジカルイオン対の反応に増感剤の対イオンが関与するという前例のない反応を発見したという点で極めて注目される。今後は反応例を更に増やしその一般性を明らかにすると同時に、レ-ザ-ホトリシス法(代表的な化合物については既にこの方法で知見を得ている)により反応の初期過程の解析を行う予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)