魚類におけるエストロゲンによる生殖腺性分化誘導の分子メカニズム
Project/Area Number |
01F00109
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Research Field |
生物形態・構造
|
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
長濱 嘉孝 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SUDHAKUMARI Cheni Chery 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 外国人特別研究員
SUDHAKUMARI C. C.
|
Project Period (FY) |
2001 – 2002
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
|
Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
|
Keywords | 生殖腺の性分化 / 脳の性分化 / 性ホルモン / セロトニン / 転写制御 / 芳香化酵素 / 性ホルモン受容体 / 魚類(ティラピア) |
Research Abstract |
本研究では、硬骨魚類(ティラピア)を用いて生殖腺と脳の性分化における性ホルモン、特にエストロゲンの役割を明らかにすることを目的としている。昨年度までの研究では、性分化期の前後における遺伝的雌雄の生殖腺と脳における種々遺伝子(芳香化酵素、エストロゲン受容体αとβ、アンドロゲン受容体αとβ、及びAd4BP/SF-1)の発現をRT-PCRを用いて解析した。その結果、生殖腺の性分化に関しては、特に卵巣分化に関して卵巣型芳香化酵素、エストロゲン受容体αとβ、及びAd4BP/SF-1が重要な役割を果たしていることが考えられた。一方、脳の性分化に関してはエストロゲン受容体βとアンドロゲン受容体αが雄化、一方、エストロゲン受容体α、βはいずれも雌化に重要な役割を果たしていることが示唆されたが、他の遺伝子の脳における発現については若干の雌雄差はみられるものの、顕著ではなかった。そこで今年度は、生殖腺と脳の性分化におけるセロトニン合成系の関与を検討した。これまでの研究から、孵化直後のXYティラピア稚魚をセロトニン合成酵素であるトリプトファンハイドロキシレース(l-トリプトファンを5-OH-Lトリプトファンに転換する酵素)(TRH)の阻害剤であるPCPAを含む飼育水中で飼うと雌化することが分かっていた。従って、セロトニンは脳の雄化に関与する可能性が考えられた。そこで、本研究では、このTRH遺伝子をティラピアの生殖腺と脳からクローニングするとともに、そのmRNAの発現を性分化期前後における生殖腺と脳においてRT-PCRにて詳しく解析した。その結果、以下の興味ある結果が得られた。すなわち、生殖腺では遺伝的雌雄にかかわらず孵化直後から発現がみられ、顕著な雌雄差は認められなかった。一方、性分化期の脳におけるTRHの発現には顕著な雌雄差が観察された。遺伝的雌では、孵化直後に弱い発現が認められた以外は、孵化後5-90日の間ではほとんど発現はみられなかった。これとは対照的に遺伝的雄では、孵化後5日にTRHの発現が開始し、10日でもっとも強くなり、15日には弱まり、その後はほとんど発現が消失した。脳におけるこのようなTRH mRNAの発現パターン(性分化における一過性の発現)の雌雄差は、TRHが脳の雄化に関与することを示唆していて、きわめて興味深い。今後、このTRHとエストロゲンやアンドロゲン合成との関連、特に芳香化酵素遺伝子発現との関連、さらには性行動などとの関連についても研究を進める予定である。
|
Report
(1 results)
Research Products
(2 results)