Project/Area Number |
01F00243
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 清明 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
IVANOV Yury 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 外国人特別研究員
IVANOV Iouri 名古屋工業大学, 工学部, 外国人特別研究員
IVANOV I. V.
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Project Period (FY) |
2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2001: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | X線回折法 / 相転移 / 多極子解析 / トポロジカル解析 / 非調和熱振動 / KMnF_3 / 電子密度分布 / 多極子解析法 / ラプラシアン解析 |
Research Abstract |
X線回折法で電子密度分布の精密測定・多極子解析法により、物性を電子密度分布から説明することを目的とした。そのため、KMnF_3結晶の186Kでの立方晶から正方晶への相転移に伴う電子密度の温度変化を実測するため、298K、240K、および相転移点直上の190Kで、精密回折強度測定を行った。電子密度の温度変化を測定し相転移機構を研究する試みは、研究代表者の知る限り、本研究が世界で最初である。測定された電子密度を多極子解析法で解析するとともに、電子密度のトポロジー解析を行ったところ、結合の詳細とともに、相転移機構までも明らかになった。 KmnF_3結晶はペロブスカイト型構造を持つが、電子密度のトポロジーから、結晶内にはMn-FとK-F間に、結合の形成を示す(3,-1)bond critical pointが存在することが明らかになった。これはKNiF_3等の他のペロブスカイト結晶と同じである。KMnF_3結晶の弱い一次相転移は、MnF_6正八面体の結晶内での協同的回転によって起こることは知られているが、本研究により、298Kでは、(3,+3)cage critical pointであったK-Mn間の中点が、少なくとも相転移前の240K以下では、結合形成を示す(3,-1)型の点に変化することが明らかになった。これに伴うMn-F、K-F結合の変化から、以下の相転移に伴う事実および相転移機構が明らかになった。 1.K-F結合の電子密度の傾きのひとつがほとんど0なり、電子密度分布のトポロジーは結合を示す(3,-1)から(3,+1)ring critical pointに変化しかけている。これはMnF_6の回転を阻害していたK-F結合が190Kで非常に弱くなり切れることを示す。 2.温度低下とともに非調和熱振動が増加し、Fイオンは4個のポテンシャルの低い点に、統計的に分布する。 3.同時にMn-K結合が形成され結晶の崩壊を防ぐ。相転移点よりも50-60°も上から前駆現象が始まっている。一方、Mn-F結合には目立った変化は見られない。 これらを総合すると。温度低下に伴い、Fイオンの非調和熱振動が大きくなるが、Mn-K結合の形成により結晶の崩壊を防ぎつつ、相転移点でK-F結合が切れてMnF_6が回転し、F原子はかねてから形成されていた4個のポテンシャルのひとつに共同的に移動する。これらの成果は国際的にも注目され、15年度5月、8月にロシアおよびオーストラリアで開催された、ロシア全国結晶化学会、サガモア会議等で発表された。また、今夏のゴードン会議(米国)にも招待されている。 現在、この研究を発展させるものとして、六方晶BaTiO_3のトポロジカル解析を、ロシアに帰国後も継続して行っている。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)