Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Research Abstract |
本年度は,初年度のパキスタン陸上セクションにおける微化石群集の研究に加え,深海掘削により採集された南極近傍の海洋底コアを用いた微化石群集の研究も行った.その成果は以下の通りである. 1.パキスタン地域における古第三紀の堆積環境の研究 パキスタン中央部のスレイマン山脈ラキナラおよびジンダピールセクションにおいて暁新世〜始新世の海洋シーケンスの岩相層序および堆積岩岩石学的研究を行った.さらに,堆積環境を復元するために,同地域の岩石に含まれる底生有孔虫化石の群集変化について検討した.その結果,暁新統のDungan層は大陸斜面から外側陸棚,始新統下部のGhazij層群は大陸斜面からラグーン,始新統中部〜上部のKithar層は外側陸棚から前浜で形成されたことが明らかとなった.このような堆積環境の変化は,インド亜大陸とアジア大陸の段階的な衝突とヒマラヤ山脈の隆起課程を示しているとこも明らかにした. 2.南極海の海洋コアの研究 古第三紀の古海洋学的な環境・生物相の変化を明らかにするために,南極海の深海掘削で得られたDSDP Site 689コアに含まれる浮遊性有孔虫化石群集も検討し,パキスタンの陸上セクションにおける浮遊性有孔虫群集と比較を行った. 今年度は,120サンプルのコア試料を処理し,全ての微化石(1サンプルあたり300〜500個体)を拾い出した.その結果,DSDP Site 689コアの下部の浮遊性有孔虫化石群集は,中期始新世の後期であることが判明した.さらにこれらの群集をパキスタンの陸上セクションと比較した結果,南極のコアには年代指標となる種の構成が違うなど,全く異なる群集組成を示しているだけでなく,群集の多様性もきわめて低いことが明らかとなった.パキスタン地域は始新世には熱帯地域に位置していたことから,赤道域と極域の間に明瞭な浮遊性有孔虫における棲み分けが存在していたことを示した.現在,その詳細について検討している.
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