Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2003: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2002: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2001: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Research Abstract |
最近,ブレーン世界シナリオに基づく宇宙論が注目を浴びており,そのシナリオに従ったインフレーション宇宙論とその観測的予言を明らかにすることが急務となっている。特に,RandallとSundrumによって提唱された5次元反ドジッター時空を背景時空とするブレーンモデル(いわゆるRSモデル)は,それが低エネルギーでアインシュタイン理論を再現するという良い性質のため,盛んに研究されている。 RSモデルに基づく有望なインフレーション理論として,バルクインフラトンモデルがある。このモデルでは,5次元に住む重力的スカラー場のダイナミックスでブレーン上にインフレーションが引き起こされ,古典的には非常にうまく行くことが示されているが,5次元の場の量子揺らぎの影響をきちんと調べた仕事は存在しない。そこで,これを実行することを本研究の最終目標とした。実際には,それまでに解かなければならない原理的・技術的諸問題が数多く目の前に横たわっており,それらを一つ一つ解いて研究を進めることにした。 最初に質量のない重力と共形結合したスカラー場という最も簡単な場合を考え,その量子効果がどのように現れるかを解析し,いわゆる真空のエネルギー,カシミアエネルギーをインフレーションしているブレーン宇宙の背景下で導出した。この結果は,それ自身ではインフレーション理論に対して直接的意味を持たないが,計算途中で直面した様々な量子効果の物理的意味が明確になった。 次に,フェルミオン場などの,より一般的な量子場についてのカシミアエネルギーの計算を実行した。この結果,ブレーン宇宙には,一般的にコサイクル関数と呼ばれる特異な量子効果が大きく影響することが判明した。これは,量子効果がブレーンインフレーションのモデルに大幅な変更を加える可能性を示唆する重要な成果である。
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