Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
今年度はまず、昨年度までに開発したモデルを一部改良した。市街化は、既成市街地の拡大だけでなく、計画的に市街化される地域もあることから、市街化を突発的なものと既成市街地の拡大によるものの2つに分けた。シミュレーションは1年を基本単位としているが、1年間の市街化量のうち、1%が突発的に市街化すると仮定した。このモデルを使って、1991年から2015年までの市街化予測を試みた結果、既存市街地が拡大する傾向にあるものの、幹線道路を中心に沿道開発が進む傾向がみられた。環境管理計画を策定する際には、将来の市街化を踏まえ、どこで、どういった規制、保全をどのくらい行えばよいのか、という判断が必要になる。そこで、本モデルを用いて環境に配慮した市街化の評価を行った。評価に際し、対象地域を観測している人工衛星データ(ランドサットTM)を入手し、それを解析し、土地被覆分類結果と植生指数NDVIを得た。これらを用いて、土地被覆分類結果で緑地と判定されたセルのNDVI値を計算し、そのヒストグラム分布から閾値を決定し、それ以上のNDVI値を持つセルを緑地とした。閾値は86であった。次に、緑地を一定のまとまりとして捉えるために、500mセルごとにNDVI値が86以上を占める割合(NDVI比率)を集計した。なお、NDVI値と市街化予測の空間単位は100mセルである。これらデータを用いて、ケース1として、NDVI比率が0.3以上のセルを開発禁止にした場合、ケース2として、0.6以上のセルを開発禁止にした場合を想定し、1991年から2015年までの市街化シミュレーションを行った。その結果、ケース2と、何も規制をかけない場合の予測結果を比較すると、それほど市街化傾向に差は見られなかった。ケース1と比較してみると、沿道を中心にかなり密な市街化が観測された。これより、現在よりも緑地保全を重視する場合には、NDVI比率0.3以上の緑地で開発規制を行う必要があることが分かった。
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