Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
今年度は,昨年度までの研究成果として得られていた,一点穴あきトーラス群の研究を一般種数に拡張することを目標とした.McShaneの恒等式と呼ばれるタイヒミュラー空間上で定値となる無限級数は,一点穴あきトーラスの場合にはBowditchにより擬フックス空間上の恒等式へと拡張されていた.そこに現れる級数の部分級数を考えることで,極限集合の幅を表す恒等式を昨年度までの研究で発見したていたが,それを一般種数の穴あき曲面へと拡張することを目標とした.2003年7月21日から8月15日の期間,ケンブリッジ大学ニュートン研究所(イギリス)で行われた研究プログラム「クライン群と双曲的3次元多様体の空間」へ参加し,ウォーリック大学のSeries氏,カリフォルニア工科大学のBromberg氏らと議論を重ねることで,その目標を達成することができた.同時に,一点穴あきトーラスの場合にBowditchが発見した異なる部分級数で,円周上の曲面束のカスプトーラスのモデュラスを表す式を,一般の種数の場合に拡張することにも成功した.その成果を,作間誠,宮地秀樹の両氏との共著論文としてまとめた. 上記の研究の過程で,双曲多様体に含まれる滑らかな閉曲線と,その曲線に自由ホモトピー同値な測地線との距離を,共変微分の絶対値という局所的な量を用いて評価した.私は,その結果が実は一般の負極率多様体に対しても同様に正しいということに気づき,証明することに成功した.
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