面不斉シクロペンタジエニル-ルテニウム錯体の合成と機能に関する研究
Project/Area Number |
01J00958
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Organic chemistry
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松嶋 雄司 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2002: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2001: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 面不斉 / シクロペンタジエニル錯体 / ルテニウム / 不斉触媒反応 / アリル位置換反応 / 速度論的分割 |
Research Abstract |
昨年度までに、面不斉シクロペンタジエニル-ルテニウム錯体(以下Cp'Ru錯体と略記)が不斉アリル位置換反応の触媒として作用することを見出し、その立体制御様式について幾つかの検討を行った。そこで、不斉誘起機構を含む反応機構に関して更なる知見を得る目的で、光学活性な1-メチル-3-フェニルアリルカーボネートを用いた実験を行ったところ、本反応ではアリルカーボネートの酸化的付加と続く求核試剤の攻撃が共に立体保持で進行することが明らかになった。この結果から、ルテニウム錯体触媒を用いる反応では、一般的に良く知られているパラジウム錯体触媒系とは異なる反応経路で進行しているといえる。また、これらの結果と以前に得られた知見から本反応の機構や不斉誘起機構に関して考察を行い、その大部分を解明することにも成功した。 上述の反応では、出発原料であるアリルカーボネートの絶対配置によって反応性が大きく異なることが示唆された。このことから、本反応がアリルカーボネートの速度論的分割に利用できると考え検討した。まず、Cp環の4位の置換基がtert-ブチル基の錯体を触媒に用いて1,3-ジメチルアリルカーボネートのラセミ体とジメチルマロネートの反応を行ったところ、転化率が高くなるに従って回収原料の光学純度が向上した。生成物の不斉収率は低転化率の時から比較的高かったが、転化率の向上に伴ってさらに高くなる傾向が見られた。最も効率的な速度論分割が行えたのは、0.8当量の求核試剤を反応させた場合で、3時間の反応後に回収率40%、94%eeでR体の出発原料が、また収率55%、92%eeでS体の生成物が得られた。Cp環の4位の置換基がメチル基の錯体を触媒に用いた場合も速度論的分割を行うことができ、回収原料の不斉収率はやや低いものの、tert-ブチル基の錯体を触媒に用いた場合とは逆の絶対配置を有する原料と生成物が得られた。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)