上皮成長因子受容体からアダプター分子への情報伝達の1分子解析
Project/Area Number |
01J01177
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Cell biology
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
太田 康友 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2001 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | EGF / EGF受容体 / Grb2 / SH2タンパク質 / 1分子計測 / 蛍光測定 / 反応速度解析 / 細胞内情報伝達 / アミインタクト細胞 / 上皮成長因子受容体 / アダプター分子 / 同時多色観察 |
Research Abstract |
上皮成長因子(EGF)受容体はリン酸化により活性化し、Shc, Grb2,c-Cb1,PLCγなどSH2蛋白質と相互作用し、情報処理を行う。活性化型受容体とmSos1 (RasのGuanine nucleotide exchange factor)を繋ぐアダプター蛋白質Grb2との分子間相互作用の1分子可視化計測を行った。蛍光色素(Cy5)で標識したEGFでセミ・インタクト細胞中のEGF/EGFR複合体の位置を1分子検出し、リコンビナント精製してN-末端を蛍光色素(Cy3)で標識したGrb2との結合・解離を観察した。活性化受容体の存在部位におけるGrb2の蛍光強度の時間変化を解析し、結合時間、解離時間を統計的に自動判定するプログラムを開発し、両蛍光色素の共局在の時系列変化から、EGFRとGrb2との結合速度定数、解離速度定数を求めることができた。両方向の反応とも複数の速度成分を持つことが明らかになった。各反応速度を2成分でフィッテイングした結果、結合反応速度は0.014/nM/s(74%)および0.0027/nM/s(26%)、解離反応速度は2.1/s(79%)および0.19/s(21%)と求められた。速度定数と各成分の重み付き平均から推定した平衡状態の解離定数150nMは、従来受容体のリン酸化断片を用いてin vitro計測された解離定数(100〜700nM)とほぼ一致した。連続した2回の結合・解離反応時間の相関関係を解析し、複数の反応様式が、各回の反応毎にランダムに選択されていることが明らかになり、情報伝達が複雑な相互作用変化によって制御されている可能性が示唆された。EGFRとGrb2の認識反応が受容体蛋白質全長が正しく細胞膜構造に保持されたままで計測されたことは初めてであり、反応速度定数は従来のin vitro計測においても求められていなかった。今回の1分子計測による分子間相互作用パラメータ計測法は、細胞内分子システム研究の重要な技術となり得る。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)