Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
糖尿病の発症は遺伝因子だけでなく、環境因子も影響すると言われる。その環境因子の一つとして、酸化ストレスが知られる。酸化ストレスは糖尿病および糖尿病合併症の発症と進展に関わると言われている。そこで、糖尿病動物に抗酸化食品因子であるクルクミノイドを与えた際の、糖尿病の発症ならびに精尿病合併症発症への影響を検討した。2型糖尿病モデルdb/dbマウスにクルクミン(U1)および生体内代謝産物テトラヒドロクルクミン(THU1)を経口摂取させ、糖尿病への影響を検討した。普通食群では高血糖を示したのに対し、U1およびTHU1投与群では血糖値の上昇が抑制された。血中インスリン値はU1およびTHU1投与群で有意に上昇し、耐糖能も改善していた。U1およびTHU1の投与により膵β細胞内のインスリンも増加していることから、U1およびTHU1がインスリン生合成を促進したと考えられた。また、U1およびTHU1投与により糖尿病マウスの血中のトリグリセリド量上昇が抑制した。この作用はU1およびTHU1投与により肝臓での脂肪酸β酸化系酵素の活性上昇および発現の増強によることを明らかにした。さらに、糖尿病合併症、中でも糖尿病性神経障害に対するクルクミノイドの影響を検討した。ストレプトゾトシン誘発糖尿病発症ラットでは、末梢神経障害が発症したのに対して、クルクミノイドを経口摂取させると、THU1投与群で有意に末梢神経障害が抑制された。THU1投与群では、U1投与群と比較して、血中の過酸化脂質量の増加を強く抑制しており、THU1による糖尿病性神経障害抑制作用は、THU1自身の酸化ストレス抑制作用に起因することが示唆された。また、THU1が抗酸化性により抗白内障効果を示すことも明らかにすることができた。
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