Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
脳神経系は極めて精巧な神経回路網を有する。ごく最近、神経回路網の形成を担う様々な細胞外神経軸索ガイダンス因子が同定されてきた。しかし、それらの下流でどのような細胞内シグナル伝達分子が成長円錐の運動とそれに伴う軸索のガイダンスの制御を行うのかはほとんど理解されていない。私はRhoキナーゼの新規脳内標的蛋白質CRMP-2を同定した。そして、Rhoキナーゼ特異的なCRMP-2のリン酸化や成長円錐の形態変化をモニターすることによって、細胞外シグナル依存的な成長円錐の退縮にRhoキナーゼが重要な役割を果たすことを証明した。本研究では神経回路形成におけるRhoキナーゼとCRMP-2の機能とその作用メカニズムを解明することを目的する。本年度の研究業績は以下の通りである。1)成長円錐の退縮を引き起こす事で知られるephrin-A5刺激によりDRG neuronにおいてCRMP-2のリン酸化が上昇することが確認され、その成長円錐の退縮をRhoキナーゼによりリン酸化されるアミノ酸をアスパラギン酸に変換したCRMP-2変異体(リン酸化されたCRMP-2を模倣したもの)が抑制しうることが明らかとなった。2)電子顕微鏡をもちいた解析の結果、CRMP-2はDRG neuronの成長円錐において、microtubulesの上やClathrin-coated pitの上に存在していることが明らかとなった。3)CRMP-2のRhoキナーゼによるリン酸化サイトを特異的に認識する抗体で解析した結果、リン酸化型CRMP-2はmicrotubulesの上やclathrin-coated pitの上に存在していないことが明らかとなった。以上の結果からRhoキナーゼによるCRMP-2のリン酸化は、microtubulesやClathrin-coated pitへの相互作用を介して細胞骨格系に関与している可能性が示唆された。以上のことから、平成15年度の研究計画はほぼ達成されたものと考える。
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