Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
|
Research Abstract |
研究目的は,DNA複製に伴うヌクレオソーム再構築時における遺伝子の発現状態を安定に維持する機構(エピジェネティック情報の維持機構)がシロイヌナズナの形態形成においてどのような役割を果たしているのかを明らかにすることである.この機構に関わる因子であるシロイヌナズナのFASCIATA(FAS)遺伝子と,これと機能的相同性を有するanti-silencing function 1 (ASF1)遺伝子の解析をおこなった. 1)ASF1は核に局在する ASF1a,ASF1b遺伝子を含むゲノムDNA断片中にGFPあるいはGUS遺伝子を挿入したレポーター遺伝子を構築し,野生型に形質導入した。レポーター遺伝子の発現パターンを内在のものに近づけるため、GFP/GUS遺伝子は融合蛋白質を合成するように構築した.ASF1a,ASF1b遺伝子は茎頂分裂組織,根端分裂組織で強く発現することを明らかにした.さらに,GFP融合レポーター遺伝子の解析から,融合蛋白質は主に核に局在することを明らかにした. 2)fas,asf1a;asf1b変異体ではTSIの脱抑制が起こり,fas変異体ではCACATAの脱抑制も起こっている. 野生型では発現が抑制されているTSI (Transcriptionally Silent Information), CACTA element (Transposon)の発現をRT-PCR法により調べたところ,fas変異体ではTSIとCACTAの,asf1a-1;asf1b-2変異体ではTSIの発現を検出し,野生型より脱抑制が強く起こっていることを明らかにした.さらに,発生段階的に脱抑制の程度も増すことも明らかにした.in situ RNA hybridization法により,茎頂分裂組織におけるCACTAの脱抑制のパターンを調べたところ,ゲノムDNAのメチル化が低下しているddm1変異体では一様に発現していたのに対して,fas変異体では偶発的に一部の細胞で発現していることを明らかにした. 以上の結果は,FAS(CAF-1),ASF1が,細胞分裂に伴うクロマチン再構築を通して遺伝子発現を制御し,ゲノム構造の安定的な継承に関わることを示唆するものと考えている.
|