Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
食品の属性の一つである栄養素含有量に焦点を当て,経済学的手法によりアプローチを行った. まず,モデル分析により,食品が属性レベルで経済学的効果を持つとき,属性レベルで経済最適化を行うことは,重要な意味を持つことが明らかとなった.これは属性水準を所与として最適化を行う経済より,可動なものとして市場取引を行うことで,資源配分上より良い市場均衡を実現できるためである. このことを受け,いくつかの課題を設定し,計量経済学的手法を用いて,実証的な分析を試みた.まず,顕示選好に基づく分析では,栄養素に対して,有意な潜在価格を有することが明らかとなった.さらに表明選好法においてもこのような属性の変動に対して有意なWTPをもつことが明らかとなった. 上述のように,いずれの実証分析においても,食品の栄養素含有量などの属性は有意に機能していることが分かる.このように食品属性が機能しているのにはいくつかの要因が考えられる.一つには表示やその他さまざまな媒体を通して,食品属性の情報が実際の経済活動において機能していることによると考えられる.栄養成分をはじめ,産地,品種,栽培方法など表示は多岐にわたり,またマスメディアも食品の機能などを取り上げて,その詳細についての情報を伝達している.この様な十分な情報の流通は,食品の属性への接触を日常化し,十分に経済的な影響を持つものにしている.また,もう一つの理由としては,属性レベルで多くのバリエーションを持った食品が選択可能であることがあげられる.近年広い範囲で流通経路が確保され,消費者はほとんどの食品を,大きな費用をかけずに入手可能となった.さらにはビタミン剤など,属性に特化した食品の開発が行われるようになり,属性そのものへの需要も明確な形で現れるようになっている. 最後に食品需要と健康との関係だが,健康に影響を及ぼす特定成分に対して支払意志の反応が強い反面,健康を保つために理想的な食事バランスを保つということには関心が低いことが明らかとなった.マスメディアなどの情報には敏感であるが,栄養士などが有する,より専門的な知識への関心が低いためといえ,健康的な食品需要を実現するためには,経済システムを含めた新たなシステムの構築が重要といえる.
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