Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost : ¥3,600,000)
Fiscal Year 2003 : ¥1,200,000 (Direct Cost : ¥1,200,000)
Fiscal Year 2002 : ¥1,200,000 (Direct Cost : ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001 : ¥1,200,000 (Direct Cost : ¥1,200,000)
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Research Abstract |
本年度の解析研究の結果,(1)回帰回遊中のサケ親魚の外洋での行動について(2)湖沼域のヒメマスの繁殖期の行動について以下のようなことが明らかになった。 (1)2002年度に実施したベーリング海におけるサケの行動調査では,データロガーを回収することができなかった。長期間にわたり魚体に負担をかけないで装着の強度もじゅうぶんな手法を開発することが,今後とも魚類のbio-logging研究の課題となると考えられる。また,前年度までに得られた個体の解析では,あらたに回遊ルートの軌跡が明らかになりつつある。この解析結果によって,サケが回帰回遊中に採餌と回遊をどのような時間配分で行なったかがわかった。サケは従来数理モデルから予測されていたよりもずっと短い時間しか回帰回遊に使っていなかった。したがって,サケの回遊行動はきわめて洗練されたorientedな行動であることが確認されたと考えられる。 (2)日光中禅寺湖において生殖腺の成熟状態と行動の相互作用を明らかにするために実施された一連の野外調査の結果,ヒメマスは「どのような時でも最善を尽くす」行動戦略を採っていることが明らかになった。排卵していない個体と排卵した個体,排精した個体と排精しない個体の遊泳深度をそれぞれ比較した結果,どの個体も産卵場近くの岸辺を遊泳しており,thermal refugeである沖合の利用時間率には顕著な差が見られなかった。また,排卵や排精に関わらず産卵場河川への遡上が見られた。さらに,bio-logging調査の途中で排卵した個体の時系列的な行動の変化を検討したが,排卵によって個体の行動は変化することが無かった。以上の結果から,繁殖期のサケは個体の体内の内的状態に関わらず,物理環境や他個体との同調によって決まると考えられる最適なタイミングで河川への遡上を果たすために,つねに最善の努力を払っているという仮説が提示されることとなった。これは,1回産卵型の生活史を持つヒメマスには,残存繁殖価が存在しないためと考えられる。 また,フランス領ギアナでオサガメの潜水行動調査によって,遊泳時の加速度からウミガメの採餌行動をモニタリングする手法を確立することができた。
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