Project/Area Number |
01J03482
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
社会学(含社会福祉関係)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
倉島 哲 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 身体技法 / 認識論 / 実践コミュニティ / 身体論 / 慣習 / 日常的実践 / 武術 / 武道 |
Research Abstract |
研究課題「身体技法と社会学的認識」について、今年度は、昨年度に引き続き京都市にある武術教室、武術研究会S流の参与観察を行った。具体的には、週に二回の練習に継続的に参加することで、S流の構成員における身体技法の習得過程を記述・分析した。そのさい、指導のさいに用いられる比喩的な用語法、たとえば「身体の力を抜く」・「身体の線をつくる」などの「わざ言語」に焦点を当てた。分析には、方法論・認識論を扱った社会学的文献と、言語行為論・慣習論を扱った哲学的文献を用いた。今年度の科学研究費は、S流の指導者など情報提供者への謝金と、補助文献の購入費に充てられた。 今年度の研究によって、従来の「わざ言語」についてのアプローチの問題点が明確にされ、それらを克服するような新たなアプローチが示された。従来の身体技法研究では、身体技法はM・ポラニーのいう暗黙知として捉えられてきた。そのため、「わざ言語」の重要性が指摘されつつも、それは暗黙的な技法が伝達されるための手段的媒介として位置づけられるにとどまっていた。このような目的論的な枠組みのもとでは、それぞれの学習者が上達のための試行錯誤のなかで「わざ言語」を実際にどのように解釈しているかは見えてこない。 武術教室のフィールドワークによって、学習者の日常的な慣習的実践が「わざ言語」の理解に重要な役割を果たすことが明らかになった。「わざ言語」は一見したところ専門的な耳慣れない言葉であるが、それを構成する個々の言葉は日常的なものである。学習者は、それらの言葉を日常的に使用しているため、それぞれの言葉と慣習的に結びついた身体的実践を喚起することができる。したがって、「わざ言語」は言葉の比喩的な組み換えにとどまらず、このようにして喚起された身体性をも組み換えているのである。これは、学習者の慣習的身体の多様性と「わざ言語」の多様性に応じて多様かつ創発的な過程である。
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