Project/Area Number |
01J03542
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Philosophy
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三谷 尚澄 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2001: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | カント / 実践哲学 / 自律 / 規範性 / 人格構成的目的 / リベラリズム / 人権 / アイデンティティ |
Research Abstract |
研究課題に即しつつ、現代のリベラリズムをめぐる一連の論争の中におけるカント哲学の位置付け乃至独自性の解明、という課題の明確化に勤めた。具体的には、「手続き主義的リベラリズム」の発想を根幹のところで支えるとされるカント的「自律」の概念が、どこまで現代の多元主義敵主張と整合的であり得るかを検討した。検討の手続きとして、(1)カント的「自律」の概念を、「アイデンティティ」という多元主義的政治哲学のキーワードとの関わりの中で再構成したクリスティーン・コースガードによる「規範性の源泉」を巡る議論を詳細に検討した。(2)その上で、コースガードによって再構成されたカント的自律の議論に関して、「人格の自律」に人間の行為主体性の根拠を認める点では賛同できるが、道徳的要求の普遍性に対する一元的主張に対しては一定程度の譲歩が必要とされることを明確にした。(3)そして、それら一連の検討を通じて、「個人の自覚的反省に先立つ行為主体性」の概念に基づいた「人格構成的目的」を中核にすえた形での規範理論が構築され得る可能性についての言及を行った。 また、上記の理論的研究の応用として、「人権」という普遍的性格の強い概念をどのように評価すればよいのか、という問題に関するサーベイを進めた。具体的には、(1)従来の人権理論が、「本質的な意味で自由な人間」という、非常に強い意味での主張にその妥当性の基礎を求めるものであることを歴史的に明らかにした。(2)また、それら「本質的自由」の概念に基づいた人権の概念が、自由でない未開の民族の啓蒙、という名目の下に行われる党派的暴力を正当化する装置として利用されてきたことを、歴史的資料として整理した。(3)現行の「リベラルな人権」が、決して普遍的な性格を留められないものであること、そしてその問題の源泉は「本質的人間」という啓蒙主義的思考の負の遺産に基づくものであることを歴史的にあきらかにした。
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