N-混乱ポルフィリンを基盤とする新規ポルフィリン異性体の合成と錯体化
Project/Area Number |
01J03683
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Organic chemistry
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前田 大光 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2001 – 2003
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
|
Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | ポルフィリン / N-混乱ポルフィリン / ポルフィリン類縁体 / 高酸化状態金属錯体 / 炭素-金属結合 / 芳香族性 / ピロール誘導体 / アニオン認識 |
Research Abstract |
機能性色素であるポルフィリンは生体模倣化学や材料科学などの分野において広く用いられているのに対し、その類縁体・異性体の研究は端緒に付いたばかりである。特に、ポルフィリンの混乱位置異性体である「N-混乱ポルフィリン(NCP)」はその骨格構造をポルフィリンと同一にしながら、環内部に炭素原子、外部に窒素原子を有するため特異な金属錯化挙動や反応性を示すことが、われわれのグループを中心に明らかになりつつある。電子吸引性基の錯体に与える安定性また触媒能を期待して、C_6F_5基を有するNCPおよび種々の金属錯体を合成した。なかでも、銅(II)錯体はX線による構造解析に成功し、平面四配位構造を形成していることが明らかとなった。銅(II)錯体は環外周NH部位においてアニオンと相互作用し、酸化電位(Cu(III)/Cu(II))は会合定数の高い塩化物イオンを添加することによって低電位側へとシフトし、外周部からの刺激が混乱ピロールを介して中心金属イオンにまで強く伝播することが示された。(J.Am.Chem.Soc.2003,J.Incl.Phen.2003)一方、外周部窒素原子をアルキル基で保護した場合、そのようなアニオン認識や酸化還元挙動は見られなかった。(submitted)反磁性+2価錯体を用いたNMR測定によって、NCPのアニオン認識には、(i)18π芳香族性を有する双性イオン型共鳴構造の寄与および(ii)隣接するC_6F_5基とアニオンとの相互作用が大きな要因であることが示唆された。 われわれは以前にNCPの多重混乱異性体の最初の例であるcis型の「二重混乱型ポルフィリン」(cis-N_2CP)を合成し、通常見られない高酸化状態である銅(III)および銀(III)錯体を形成することなどを報告した。一方で、N-フューズポルフィリン類縁体を安定中間体として、混乱ピロール環が対面に位置したtrans型N_2CPを得ることに成功した。芳香族性が不完全な互変異性体を示すcis-N_2CPに対して、trans-N_2CPは環内部に4個の水素原子を持ち、そのため18π電子系に由来する反磁性環電流が^1H NMRによって観測された。(J.Am.Chem.Soc.2003) cis-N_2CPは環外周部にNH基やN基である窒素原子を2個有しているため、結晶中でそれらがN-H…Nの水素結合を介してzigzag型の一次元鎖を形成するのに対し(Supramol.Chem.2003)、trans-N_2CPのCu(III)錯体はrodlike型の超分子ネットワークを形成した。さらに、cis-N_2CPおよびtrans-N_2CPはそれぞれ「混乱ピロール環」の相対位置が異なることに起因して、金属錯体、フリーベース体いずれもアニオン認識能に大きな差が見られた。
|
Report
(2 results)
Research Products
(16 results)