Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
1.新種のブラックホールX線新星V4641 Sgrのアウトバーストの観測V4641 Sgrは本研究の主たる観測対象の1つであり、既存の理論的解釈が困難な非典型的な爆発現象を起こすことで注目を集めている。平成15年度には、2003年8月にこの天体が再び活動期に入り、観測を行った。その結果、この現象は2002年5月に発生した現象と特徴が酷似しており、この天体では初めて再起性のある現象が確認された。このことにより、天体の物理状態の変化が、例えば数年という短い期間で起こるのではなく、比較的長期間安定した状態にあることが明らかになった。過去の活動期の記録から、この天体は少なくとも数年のサイクルで活動期に入ることが強く示唆される。また、今回の観測中には2002年にも見られた特徴的な現象である一時的な減光現象が観測された。この減光は放射領域が突然なんらかの原因で消滅したことを意味し、もし可視光源がX線の再放射である場合、輻射領域がブラックホールへ落ち込んだ瞬間が見えている可能性がある。2.ガンマ線バースト030329の観測ガンマ線バーストは宇宙で最大規模のエネルギー開放現象であり、ジェットを伴う点でブラックホールX線新星とも類似していることが指摘されている。2003年3月29日に30年の研究史上最も近傍でガンマ線バーストが発生し、本研究者はその最初期の観測に成功した。その結果、ガンマ線バーストの残光は従来考えられていたよりも激しく光度が変化していることが明らかになり、その光度変化を説明するためにいくつかの理論モデルが提唱された。これらの成果はイギリスの科学誌「Nature」で発表された。
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