Project/Area Number |
01J03859
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
出口 和彦 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2001 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | スピン三重項超伝導 / クーパー対の波動関数の対称性 / 超伝導ギャップ構造 / 超伝導メカニズム / 比熱 / ルテニウム酸化物 / 超伝導多相現象 / カイラル超伝導 / ゼロ磁場Hall効果 |
Research Abstract |
層状ルテニウム酸化物Sr_2RuO_4のではスピン三重項超伝導が実現していると考えられている。その超伝導ギャップ構造・クーパー対の波動関数の対称性を決定することがスピン三重項超伝導の解明に重要である。私はこれまでになされた研究成果をふまえ、次の段階の目的として超伝導状態におけるエネルギーギャップの構造、クーパー対の波動関数の対称性の決定に焦点を定めた。具体的には極低温で超伝導状態の比熱の磁場方向依存性を測定して、磁場による準粒子励起の異方性、つまり状態密度の異方性を観測することにより超伝導状態におけるエネルギーギャップの構造、クーパー対の波動関数の対称性を決定する。 この目的のためには、今までにない新しい装置の開発が必要となった。すなわち、縦・横磁場2つのマグネットから成るベクトルマグネット、マグネットの入ったデュワーの回転台を用いることにより、試料に対して磁場を自由な方向に印加可能にして、これに25mKまで冷却可能な希釈冷凍機、自作の高精度比熱測定装置を組み合わせて今までにない超高精度磁場方向制御可能にする低温比熱測定装置を開発した。この装置を用いることにより、物理量の異方性を利用して結晶軸の特定の方向に超高精度(0.05°以内)で磁場を印加して、50mKの極低温までの比熱測定が可能になった。 比熱の温度・磁場・磁場方向依存性を測定し、超伝導状態における準粒子状態密度の磁場方向依存性を調べた結果、Sr_2RuO_4の異方的な超伝導ギャップ構造の観測、波数空間での超伝導ギャップ構造の可視化に成功した。低温でのみ4回対称性をもつ面内磁場方向依存性が観測され、超伝導を主に担うフェルミ面では、RuO_2面内の[100]方向で超伝導ギャップが顕著に小さくなっていることがわかった。これはSr_2RuO_4の超伝導ギャップ構造を方向依存性まで含めて決定した最初の実験である。この結果は、Sr_2RuO_4のスピン三重項超伝導におけるクーパー対の波動関数の対称性・超伝導メカニズムの決定・解明に非常に重要である。この研究については日本物理学会・国際会議で発表した。さらに、この成果を論文にし、Physical Review Letters誌などに掲載された。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)