Project/Area Number |
01J04157
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Civil and environmental engineering
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
井町 寛之 長岡技術科学大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 高温性嫌気性処理 / プロピオン酸 / 嫌気共生細菌 / fluorescence in situ hybridization(FISH) / Desulfotomaculum / real-time PCR |
Research Abstract |
本研究は次世代型の省エネルギー・創エネルギー型有機性廃水技術として現在注目を集めている55℃付近で運転する高温嫌気性処理プロセスに着目した。本プロセスは実用化するためにはいくつかの問題を抱えており、特にその運転が不安定になった際にプロピオン酸がプロセス内に著しく蓄積してしまい、良好な処理が望めなくなることが大きな問題の1つである。そこで本研究では、このプロピオン酸の蓄積問題を解決する糸口として、高温嫌気環境下でプロピオン酸を分解する微生物に焦点を当て、その微生物の詳細な菌学的特徴の決定およびプロピオン酸を分解する微生物の多様性の調査および検出・定量方法を確立した。 まず、本研究に先立って私が世界に先駆けて分離した高温性嫌気プロピオン酸酸化共生細菌SI株の菌学的特徴の決定を行った。SI株蛛の至適生育温度は55℃であり、至適生育pHは7.0であることを明らかにした。基質利用性試験によりSI株はプロピオン酸以外に乳酸やエタノールなどのアルコール類をMethanothermobacter thermautotrophicus Hとの共生で利用でき、ピルビン酸とフマル酸で単独に生育可能であることを明らかにした。また、SI株の16S rDNAを決定し、分子系統解析を行ったところ、硫酸還元細菌であるDesulfotomaculum属に属することを明らかにした。しかしながら、SI株は硫酸還元能を欠いていること、SI株の持つキノン種はMK-7およびMK-7(H_4)であり、Desulfotomaculum属のそれとは異なること、SI株は硫酸還元の代わりにフマル酸還元をすることが明らかとなった。これらの解析結果から、SI株を新属新種Pelotomaculum thermopropionicumとして提案した。 次に上記の解析より得られたSI株の菌学的特徴と新たに16S rRNA遺伝子配列を基に分子系統解析を行った結果から、SI株の属するDesulfotomaculum subcluster Ihグループ硫酸還元能を持たず、分離培養が困難な嫌気共生細菌群で構成されている可能性があるという仮説を立てた。この仮説を検証するために、様々な環境中のDesulfotomaculum subcluster Ihに属する細菌の多様性解析および分離培養等を行った。その結果、嫌気メタン生成環境下では、Desulfotomaculum 属の中でも特にsubcluster Ihに属する細菌が多く存在していることを明らかにし、subcluster Ihに属する新規のプロピオン酸酸化共生細菌を高温性で2株、中温性で3株を培養することに成功した。これらの多様性解析と培養等の結果から、Desulfotomaculum subcluster Ihは嫌気共生細菌で構成され、様々なメタン発酵プロセスに広く存在していることを明らかとなった。さらには、Desulfotomaculum subcluster Ih細菌群を検出・定量を可能にするためにsubclsuter Ih細菌群の16S rRNAを標的としたDNAプローブを作成し、環境中のsubcluster Ih細菌をFISH(fluorescence in situ hybridization)法により検出可能にし、real-time PCR法を用いることで定量方法を確立した。
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