Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
昨年度までに単離してきたAPPの細胞質ドメインと相互作用する蛋白質のうち、新規蛋白質Hard1のAPP代謝に及ぼす影響を解析した。Hard1は、ヒトNAT1ホモログ(hNAT1)と相互作用し、アミノ末端アセチル基転移酵素活性を示す事を明らかにした。新たに単離したhNAT1は866個のアミノ酸からなりtetratricopeptide repeat motifを3つ持っていた。HEK293細胞にHard1とhNAT1を同時に発現すると酵素活性を現し、酵素活性に比例してβ-アミロイド生成抑制効果が認められた。アセチル-co A結合サイトに変異を導入したHard1とhNAT1を発現した場合は、酵素活性を示さずβ-アミロイド生成抑制効果も失われた。HARD1とhNAT1によるβ-アミロイド生成抑制の詳細な分子機構を解明する目的で、APPのβ-サイトでの切断産物CTFβ(C99)を基質とした解析を行った。C99を基質とした場合にもAPPと同様にβ-アミロイド生成を抑制したが、これは酵素活性とは無関係であった。従って、HARD1は酵素活性依存的にβ-サイトの切断を抑制する働きと、酵素活性非依存的にγ-サイトの切断を抑制する2つの機能を示すことが明らかになった。γ-サイトの切断抑制は、創薬のターゲットとして副作用が強いと予想されるため、本研究はアミノ末端アセチル基転移酵素活性の制御による新たなβ-サイト切断を抑制する創薬の開発に応用可能である。
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