Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2003: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2002: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2001: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Research Abstract |
本年度はプラジュニャーカラグプタの主著『量評釈荘厳』における主宰神批判,すなわち『量評釈』vv.8-28に対する注釈箇所の解読を目指し,その基礎研究となるサンスクリット語写本他諸資料に基づくテキスト校訂作業ならびに英訳注の作成を行い,一応の完成をみた.とりわけPVA ad vv.8-9におけるテキスト解読に関しては,E.Franco博士(ウィーン大学)による哲学的・文献学的な指導が反映されている.また,全知者証明に関する重要な周辺資料であるジャイナ教文献に紹介される議論をテキストデータベース化する作業も完了した.上記研究を基礎として,昨年9月にデュッセルドルフにて開催されたシンポジウムLogic, Grammar, and Argumentation in Buddhist Textsにおいて「全知者証明について」(Proofs of omniscient Buddha)と題する発表を行い,以下の成果を発表した. 1.超感覚的対象についての証言の妥当性の根拠をその知覚に求めたディグナーガと異なり,ダルマキールティは,経験可能領域における証言の正しさを検証することで,超感覚的領域についてのその蓋然的妥当性を導く回路を見出した. 2.プラジュニャーカラグプタは,通常人と全知者の間に,<一部分の真実を知る卓越した人物>を挿入し,経験的領域の拡張という視点から,超感覚的領域の認識へと接近する方法を示した. 3.ラトナキールティの『全知者証明』最終部で述べられる<あらゆることを知る全知者>証明もまた,ダルマキールティの理論を基礎とするものであり,あくまでもそのような全知がありうる蓋然性を帰結するものであり,厳密な意味において,その証明が成功しているわけではない. 以上をもって,プラジュニャーカラグプタの宗教的真理論,特に全知者論と主宰神批判に関する基礎文献研究とその解読に基づく思想研究が完了したことを報告する.
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