超広帯域誘電緩和法を用いた高分子固体電解質におけるイオン伝導機構の解明
Project/Area Number |
01J05308
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
高分子構造・物性(含繊維)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤間 卓也 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 高分子電解質 / 誘電緩和 / 動的光散乱 |
Research Abstract |
高分子電解質は、そのカウンターイオンや添加塩の解離イオンと相互作用が非常に複雑であり、物理的・系統的な理解の達成に至っていない分野である。特に高電荷密度系は研究例が少なく、例えば、マクロ相分離とは異なり、ミクロ相分離のような緻密な測定を要する現象に関しては未だ研究例は無い。 そこで本研究では、高電荷密度高分子電解質にはポリスチレンスルホン酸ナトリウム、添加塩には塩化ナトリウムを用い、溶媒にはエチレングリコール(良溶媒)とシクロヘキサノール(貧溶媒)の混合溶媒(任意比率)を用いる事で、溶媒の性質を任意にコントロールした。 この系に関して、高分子電解質濃度、溶媒の性質、添加塩濃度、温度をそれぞれ独立のパラメータとして変化させ、その相挙動および、誘電緩和法と動的光散乱による分子・イオンレベルでのダイナミクス、粘弾性測定によるマクロなダイナミクスの測定を行った。 これにより、溶媒が貧溶媒に近づくとミクロ相分離が発現し、静電斥力により長期的に安定な単分散ミセルの形成が起こることが分かった。すなわち良溶媒中ではカウンターイオンと高分子の静電的カップリングによる速いモードと高分子全体の揺らぎによる遅いモードが観測されたが、それがミセルによる単一緩和へと僅か数%の溶媒比率のうちに転移したのである。また、このミセルは無塩系では数十nmであり、無機低分子添加塩によってそのサイズを増大させる事が明らかとなった。さらに粘弾性測定により、転移に同期して粘度の低下が示され、これは良溶媒中では広がり・絡み合っていた導電性高分子が貧溶媒中では凝集したためであり、ミセル形成を裏付けている。 これにより、高分子電解質系では溶媒の性質とイオンの静電的相互作用が本質的に重要となっていることが分かり、これらを制御する事によって、高分子電解質の形態ひいては系の光学的性質、電気伝導的性質を制御する事が可能である事が示された。
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Report
(1 results)
Research Products
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