ペロブスカイト型強誘電体における人工粒界創製と非線形電子物性
Project/Area Number |
01J05628
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Inorganic materials/Physical properties
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
濱本 孝一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | チタン酸バリウム / 単一粒界 / 強誘電ドメイン / 人工粒界 / C60ウイスカー / PTCR特性 |
Research Abstract |
結晶粒内への物性制御可能な人工的界面形成を目指し、イオンビーム装置を用いてBaTiO_3半導体結晶粒子へ人工的な粒界構造の形成を試みた。その結果、結晶粒子内のイオン注入部分でBaTiO_3半導体が示す特異な粒界電子物性であるPTCR特性を発現させることができた。さらに高分解能TEMを用いた観察から、イオン注入部近傍の結晶領域に自発分極分域構造の乱れを確認した。この構造の乱された領域が粒界としての働きをしたものと考えられる。また、イオン注入により非晶質化した領域へ、熱処理により母結晶の結晶方位とは異なる方位関係を有する微結晶の形成が確認された。これらのことは、イオンビームを用いた人工的な結晶粒界の形成の可能性を示している。 BaTiO_3半導体が示す粒界物性の発現機構を目指し、BaTiO_3半導体単一粒界試料を用いた粒界電子物性測定と自発分極分域構造観察を同時に行った。その結果、粒界を構成する両粒子の結晶方位関係によって格子不整合などによる歪みが粒界部に生じ、粒界部では強誘電-常誘電相転移の温度が粒内部と異なることを見出した。また粒界部に生じる歪み(すなわち分極)の大きさが粒界ごとに異なるため、BaTiO_3半導体は粒界ごとに様々なPTCR特性を発現するとの結論に至った。このことは、BaTiO_3半導体が示す粒界物性の発現機構が、従来述べられてきた常誘電温度域での誘電率の温度存性によるものではなく、粒子内部における相転移点以上の温度域で粒界部に残存する自発分極に起因するものであることを強く示唆している。 また、BaTiO_3単一粒子を用いて誘亀特性に及ぼす自発分極分域壁の影響について検討を行った結果、BaTiO_3粒子内に形成される90°ドメイン壁の面積の増加に比例して誘電損失の増加することを定量的に明らかにした。さらに、ドメイン壁間の相互作用によりドメイン壁の電界による運動が妨げられ、このことが誘電損失の低下に寄与することを実験的に明らかにした。 さらに、これまでに本研究で行ってきた微小細線測定技術を応用して、本研究室で作成した直径数ミクロンのC60ウィスカー及びヨウ素を添加したC60ウィスカーの電気測定を行った。その結果C60ウィスカーではOhmicなI-V特性を示したが、ヨウ素を添加したC60ウィスカーは非線形なI-V特性を示すことを明らかにした。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)