Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は、生体の脳幹に多点電極を埋め込み、それを用いて脳幹を直接電気刺激し、聴覚信号を伝達する「脳幹インプラントシステム」を開発することである。本年度の研究実績は、(1)聴性誘発電位を用いて聴皮質の機能構造を明らかにしたこと,(2)脳幹・蝸牛神経核の電気刺激が音高の知覚を誘発できる可能性が高いことを示したこと,(3)電極間の神経を選択的に刺激できる多点ゲート刺激法を開発したことである. これまで開発した表面電極を用いて,純音で誘発された聴皮質反応を多点計測し,聴皮質の機能構造を考察した.この聴性誘発反応を中潜時反応,長潜時反応,オフセット反応に分けて,それぞれの特徴を考察した.中潜時反応の特徴として,その周波数・音圧が異なると,聴皮質上での時空間的活動パターンが明らかに変化する,すなわち,明らかな周波数局在構造と音圧局在構造が存在することを示した.長潜時反応には,明らかな周波数局在性は見られないが,音圧情報を改めて表現している.オフセット反応は,オンセット反応(中潜時反応)の周囲に分布する. これまで開発した剣山電極を用いて,脳幹・蝸牛神経核を電気刺激したところ,聴皮質上で誘発された反応波形は,音刺激で誘発されたそれと同じ特徴を示した.実際に,音刺激と電気刺激とで誘発された聴皮質上の反応を比較・検討したところ,蝸牛神経核の背側核を刺激しても,腹側核を刺激しても,刺激部位に応じて異なる音高を知覚させている可能性が高いことを示し,ABIの有用性を直接的に裏付けた. 多点ゲート刺激法では,陰極の刺激で電極周辺の神経を幅広く発火させ,不必要な活動電位の伝播を陽極の刺激で抑制する.シミュレーションでは,電極間の任意の場所で刺激ができることを示した.さらに,動物実験でも,脊髄の両端に設置した電極で脊髄の中心の神経だけを刺激できることを示し,同刺激法の有用性を示した.
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