パイロクロア格子におけるフラストレーションと揺らぎ
Project/Area Number |
01J05890
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 靖文 東京大学, 物性研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | パイロクロア格子 / フラストレーション / スピネル化合物 / 量子スピン系 / スピンヤーン・テラー効果 / 重い電子系 / スピン・軌道揺らぎ / 乱雑位相近似 |
Research Abstract |
最終年である本年度は、d電子系化合物としては初めての重い電子的振舞いを示す金属スピネルLiV_2O_4に関する研究を行った.この物質の伝導・磁性を担うのはパイロクロア格子を形成するバナジウムサイトのt2g電子であり,通常の高濃度近藤格子系のように局在電子と遍歴電子を明確に区別するエネルギースケールが存在するかは自明ではない.本研究においては,LiV_2O_4において典型的なフラストレート遍歴電子系が実現していると考え,パイロクロア格子上のt2g軌道ハバードモデルに対して乱雑位相近似を用いることにより,低温領域で観測されている有効質量の増大に関する研究を行った. 具体的には電荷,スピン自由度に加えて,軌道,スピン・軌道結合自由度すべてに関する合計36個の密度演算子間の揺らぎすべてを取り入れ,一般化された動的揺らぎに関するRPA方程式を導いた.次に動的帯磁率の虚数部分の結合定数積分を行い自由エネルギーを求め,その温度微分により絶対ゼロ度での電子比熱係数を導出した. その結果,パイロクロア格子という典型的な3次元フラストレート格子構造により電荷,スピン,軌道すべての自由度の長距離秩序が抑制され,スピン・軌道4重極子結合自由度の揺らぎが増強されることによりLiV_2O_4に於いて観測されている巨大な電子比熱係数が定性的に説明可能であることが示された.この結果は論文としてまとめられ現在Physical Review Bに投稿中である.
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)