Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
今年度は,いわゆる教育長任命承認制が存在していた時期における,中央官僚の教育長への出向人事の態様を,とくに首長や議員の属性や地方政治の状況に着目しつつ調査を行った。 その結果,文部省出身の教育長は特に1970年代以降減少していたこと,また他省庁出身者を含めても地元出身の教育長が徐々に増加し,中央官僚出身の教育長は減少していたことが明らかとなった。 これは,任命承認制の存在が中央政府の地方への統制を強めたとする通説的な見解では説明しがたい事実である。また,知事と議会が対立していたり直前の知事選が激戦であった場合など,地方政府内部の政治的な状況が不安定な場合に,中央官僚の教育長への出向が多くみられることも明らかにした。 以上の研究結果から得られる示唆としては,次の3点があげられる。 第1に,教育行政が他の行政領域と比較して中央集権的で,首長・議会の統制から乖離しているとの認識は決して自明ではなく,実証的な調査研究による知見を蓄積したうえで判断することが必要である。 第2に,出向人事は中央による地方への統制の手段として有効である,という行政学の通説的な見解は再検討の余地がある。出向人事が中央統制の手段として有効であるならば,任命承認制というしくみがありながら,文部省からの教育長出向がこれほどまでに少ないのは理解しがたい。 最後に第3として,これまで教育行政学では自治省や首長・議会がほとんど研究対象とされていなかったが,本研究の結果からは地方教育行政において極めて重要なアクターであることが示唆される。本研究の知見から,今後自治省の影響力に着目した実証的研究の蓄積が求められる。
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