「満洲」という社会的リアリティ-岐阜県郡上村開拓団の戦前戦後の実証研究-
Project/Area Number |
01J06074
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
社会学(含社会福祉関係)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
猪股 祐介 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2001 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2002: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2001: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 満洲移民経験者の語りの構造 / 戦後日本の満洲引揚げ言説 / 「中国残留日本人」の社会問題化 / 満洲開拓団における食糧生産 / 満洲移民の植民地経験 / 満洲移民の引揚げ経験 / 個人と共同体の記憶 / 満拓公社と満洲開拓団 |
Research Abstract |
本年度は、満洲移民経験者に対する聞き取り調査と文献調査を行なうことを通して、岐阜県郡上村開拓団における満洲経験の把握につとめた結果、以下の3つの問題について新たな知見が得られた。 1.満洲移民経験者の語りの構造 前年度に実施したインタビュー調査のテープ起しを行い、30名余からなるライフヒストリー集を作成した。これらのライフヒストリーを、満洲経験と関係性の深いライフイベントごとに比較分析することによって、開拓団生活や引揚げをめぐる語りに共通する論理を明らかにした。特に開拓団生活については、従来言及されることがなかった本部関係者と一般団員の政治的・経済的関係に着目し、それが両者の語りの差異に反映されていることを示した。 2.満洲引揚げに関する言説 戦後出版された満洲引揚者の体験記、ルポルタージュ、小説を収集・精読し、戦後日本における満洲引揚げに関する言説の傾向を年代別に把握することによって、満洲移民経験者の語りを規定してきた言説構造を明らかにした。特に1980年代における「中国残留婦人・孤児」の「発見」によって、満洲引揚者のごく一部に過ぎない満洲移民の引揚げ経験が、満洲引揚げの典型例となったことを示し、そのことが満洲引揚者の被害者性の強化をもたらしたことを明らかにした。 3.満洲国の経済政策と開拓団の矛盾 満洲開拓年鑑や満洲国立開拓研究所の調査資料等に依拠して、開拓団の経済構造を分析することによって、満洲国による経済統制が、開拓団における食糧増産を妨げる結果をもたらしたことを明らかにした。すなわち農産物収買価格が低くおさえられたことから、開拓団において飼料作物への作付転換が起こった結果、米・小麦等の食糧生産量が減少したことを実証した。また満洲移民経験者の体験記からも、開拓団における農産物蒐荷の強化とそれにともなう飼料作物への作付転換がうかがえることを示した。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)