Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Research Abstract |
本研究では,想定される様々な被災状況を動的に再現することにより人々の災害意識の向上に寄与し,また,マップ上にて耐震補強等の事前対策の実施効果を視覚的にシミュレーションすることにより,地域防災ポテンシャルの向上のためのドライビング・フォースとして活用できるハザードマップのあり方を探る. わが国において,地震防災上の最大の課題は既存不適格構造物の耐震化問題である.そこで地震に対する種々の事前対策の中から,建物への耐震補強対策に焦点をあて,ハザードマップの活用方法を検討した.住民にとっては,自身の家の耐震性能や地震による被害発生確率を把握し,耐震補強実施するとどのような効果が見込めるのかを判定できる機能が有用である.一方,地方自治体の行政機関にとっては,地域においてどのような耐震補強推進策を実施すると,どれ位の効果を期待できるかをシミュレーションしながら検討できるという機能が重要となる. マップを活用して行政機関は耐震補強推進策の検討を行う事例として,静岡県における耐震補強助成制度を取り上げ,ケーススタディーを行った.耐震補強助成制度とは,倒壊による死者をゼロにすることを目標として2001年に開始されたTOUKAI-Oプロジェクトの一環として実施されており,耐震補強工事に対して補助を行うという制度である.2002(平成14)年度から2006(平成18)年度にかけて新たに創設され,1棟あたり一律30万円の助成が行われている.耐震補強の普及は,住宅の倒壊を防止することによる住宅所有者の安全の確保だけではなく,地震発生後に自治体が出費を余儀なくされる建物解体撤去費,仮設住宅建設費などの公的費用の軽減にもつながる.よって,県下の既存不適格建物の補助制度への加入率に応じて,助成実施による公的費用の軽減効果がどの位生まれるかをシュミュレーションした.東海地震による想定地震動に応じて補助金額を変化させる,想定地震動に応じて制度を実施する市町村を選択するなどの様々な制度実施内容を想定することもでき,マップに示される制度効果を参照しながら,どの市町村において耐震補強助成制度を一層推進すべきかを検討することができる. 本研究成果を,2002年11月開催の地域安全学会にて発表し,論文奨励賞を受賞した.
|