Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
多原子分子に対する動力学の理論的取り扱いには,ポテンシャルエネルギー曲面(PES)の精度が大きな影響を与える.近年のab initio電子状態理論の発展によりPESを高精度に決定することが可能になったことを受け,本研究では,高精度ab initio PESに基づくダイナミックス計算を行った. 1.多原子分子の振動エネルギー準位の高精度予測 振動状態計算では,平衡点における4次テイラー展開(QFF)が精度の良いポテンシャル関数として広く用いられているが,QFFの作成は原子数の増加とともに莫大な計算負荷を要する.本研究では,QFFをモード間カップリングの次数で表現し,2体までのカップリングを考慮したQFFを用いることで,多原子分子の非調和振動数を現実的な計算負荷で精度良く決定することが可能になった. 2.マロンアルデヒドに対する多次元トンネル動力学 マロンアルデヒドは分子内水素移動反応のトンネル効果により振動エネルギー準位が分裂するが,その見積もりには多次元効果の考慮が必要不可欠である.最近,Mil'nikovと中村は,インスタントン理論に基づき多次元トンネル効果を精確に扱う方法を提案した.本研究では,この方法と高精度ポテンシャル曲面を組み合わせることで,マロンアルデヒドの振動基底状態のエネルギー分裂を計算した. 3.スピン軌道相互作用によるCH_3+O(^3P)→CH_3Oにおける非断熱遷移の効果 近年,H_2+Cl→H+HCl反応において,スピン軌道相互作用を通した非断熱遷移の効果が大きいと報告され,実験・理論の両面からこの効果が見直されている.CH_3+O(^3P)は9個の電子状態が縮退しており,そのうち2個しかCH_3Oへ相関しないが,非断熱遷移により反応が促進される可能性がある.本研究では,ab initio計算によりポテンシャル曲面を決定し,それを用いた量子散乱計算によりこの効果を詳細に検討した.
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