Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
植物のプログラム細胞死機構をヒャクニチソウ道管細胞分化系およびシロイヌナズナを用いて解析した。これまでに私は、道管細胞がプログラム細胞死を起こす際に、加水分解酵素を蓄積した液胞を崩壊させて、核を含む細胞内容物を迅速に分解するという仕組みを明らかにしてきた。今年度は、カルモジュリンの管状要素分化初期過程および細胞死における機能について詳細に調べた。その結果、カルモジュリンは、道管前駆細胞がブラシノステロイドを受容し、局所的に活性酸素を発生させた後に、その部位でヘミセルロース成分が沈着する過程で働いていることが明らかとなった。また、液胞に蓄積する加水分解酵素や道管細胞に特徴的な二次細胞壁のリグニン化に関わる酵素の発現誘導を媒介することを明らかにした。また、動物の細胞死時にミトコンドリアから漏出し、細胞死を誘導するapoptosis-inducing factorのシロイヌナズナホモログと思われる遺伝子を単離した。この遺伝子にGFPを融合したコンストラクトを作成し、葉で一過的に発現させ、これがミトコンドリアに局在することを確かめた。また、この一つの遺伝子が2つの転写開始点を持ち、それらを使い分けることにより長短2種類のmRNAを作り分け、タンパク質をミトコンドリアと葉緑体に送り分けていることを明らかにした。1遺伝子由来の産物が、転写レベルでの制御により、両オルガネラに移行する世界初の例となった。さらに、植物器官毎に両mRNA蓄積量が制御されていることを明らかにした。また、イネのホモログを調べ、同様の実験を行い、この現象が単子葉植物でも保存されていることを明らかにした。
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