幼児期の第二言語獲得における音韻知覚機構の再構造化過程
Project/Area Number |
01J06429
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
実験系心理学
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
麦谷 綾子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2001 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 音韻知覚 / 音声口形マッチング / 乳児 / 母語の干渉 / 子音の右側優位性 / 発話 / 知覚経験 / 視聴覚マッチング / 乳児実験手法 / 発話経験 |
Research Abstract |
前年度に引き続き,研究計画にある言語獲得に伴い知覚に変化が起こる音韻について特に視聴覚マッチングに着目し,研究を進めた. (1)昨年度の研究で得た結果をまとめ,8月にミラノで行われたXI European Conference on Development Psychologyにて発表した. (2)母音/a//i/の二画面選好注視法を正確に解釈するために,特定の顔刺激に対する視覚的な選択注視の存在を検討した.その結果,乳児は母音/a/を発声している顔に対して視覚的選好があることが示唆されたが,この選好の強度は母音/a/を聴取することで高まることが同時に示され,乳児が母音/a/を視聴覚的にマッチングしているという結果が改めて裏付けられた.この結果を「音声研究」に投稿・受理され,現在印刷中(2004年4月発刊予定)である. (3)8ヶ月齢乳児が母音/i/をマッチングしている証拠が得られないのは,乳児にとって親密度の低い英語構音口形の視覚刺激を用いたためである可能性があった.この点を検討するために新たに日本語構音口形を用いて二画面選好注視法,一画面注視法による検討を行った.しかし,視覚刺激の構音口形に対する乳児の親密度に関わらず,母音/i/の音声口形マッチングは示されなかった. (4)母音のマッチングに関して発達的な検討を行うために,5ヶ月齢と11ヶ月齢児を対象として二画面選好注視法を用いた検討を行った.その結果,5ヶ月齢乳児においては母音/i/に加え,8ヶ月齢乳児では得られた母音/a/についても視聴覚マツチングの証拠が得られなかった.また11ヶ月齢児では8ヶ月齢児で得た結果と同じ傾向が得られた.したがって母音の音声口形マッチングは生後5ヶ月から8ヶ月にかけて発達的に変化することが示された.また,11ヶ月齢を対象に一画面注視法を用いて母音/i/の音声口形マッチングを検討した結果,11ヶ月齢児が母音/i/をマッチングしている可能性が示唆された. (5)両唇震え音と口笛音については昨年度に引き続き,被験者の数を増やしての検討を行った.その結果二画面選好注視法において,乳児は両唇震え音を聴取しているとき音声と一致する口形が右側に提示される場合のみ,マッチングを行うことが示された.この結果は乳児の左右視野を統制した再分析でも支持された.したがって,乳児の子音音声口形マッチングに左半球が何らかの形で関与している可能性が示された.この結果を,2004年5月シカゴで開催されるInternational Conference of Infant Studiesに投稿し,発表を受理された.
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)