Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
昨年度タイ王国森林局の協力のもと行ったタイ王国チェンマイ市での実験結果を解析した。その結果、観測研究では得ることのできなかった熱帯季節林の土壌有機物分解温度反応特性を得ることができた。熱帯季節林土壌においても分解は温度に関して指数関数的反応を示した。この結果は、今後熱帯域では寒帯域よりも小さい気温上昇が予測されているが、例え小さい温度上昇でも土壌有機物分解を大きく促進する可能性を示唆している。結果については現在学会誌に投稿中である。日本千葉県のスギヒノキ人工林およびタイ王国熱帯季節林で行っている観測結果を解析し、土壌中の各深さにおけるCO_2の発生量とその季節性得た。温帯に位置する千葉県のスギヒノキ人工林ではどの深さにおいても温度がその季節性をコントロールしていた。観測を行っている50cm深程度では温度の位相のずれは小さいため、各深さにおけるCO_2発生量の季節性は同じであった。結果的に有機物や根系の多い表層付近の寄与率が年間を通じて最大であった。一方タイ王国熱帯季節林土壌においては土壌水分がCO_2発生の季節性をコントロールしていた。雨期には浅い所でCO_2発生が最大になる一方で、深層では湿潤によりCO_2発生が抑制された。また逆に乾期においては、表層付近では乾燥によりCO_2発生が抑制され、深層では雨期の湿潤から解放されCO_2発生量が増加した。これらの結果については現在投稿準備中である。また先に述べた実験結果、また観測データ解析の結果をもとに現地における土壌呼吸量および土壌中CO_2濃度をシミュレートするモデルを作成し、数値計算を行った。以上の結果をまとめ、博士論文とした。また、東京大学千葉演習林袋山沢で行われている対照流域法により得られた、伐採前後・伐採地非伐採地間の地温変化を解析し、論文として投稿、学会誌に受理された。
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