Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本年度はまず、これまで行ってきたデータ収集に加え、収集した資料を基礎的なデータベースにする作業に取り組んだ。すなわち従来通り日本各地の人形浄瑠璃に対する調査を行い、その公演のようすをビデオテープに記録したが、本年度は今までの調査記録を市販のpcソフトを用いてデータベースに整理した。また人形浄瑠璃に関する新聞および雑誌記事に対してもデータベース化に着手した。特に、最も早くから刊行された専門雑誌である「義太夫雑誌」については詳細な記事データベースを作成した。これらのデータベースは今後もデータ量を増やすなど充実させていくつもりだが、近代・現代の人形浄瑠璃を研究する上で欠かせない資料である。さて、現代において人形浄瑠璃がどのように「生きて」いるのか、が本研究のテーマであるが、それを考察するために上演や鑑賞といった芸術的活動そのものに注目した。人形浄瑠璃は近世期に成立した芸能ではあるが、それを上演し鑑賞するという活動は現代のものであり、現代に上演/鑑賞される意味もそこにあるのである。したがって本研究における関心は、人形浄瑠璃の真正な姿を追求するといった本質主義的な議論ではなく、どのように現在のような上演/鑑賞の仕方が成立したのかという構築主義的なものとなる。そして本年度はその一つの表れとして、近代になって浄瑠璃の読まれ方がどのように変わってきたのかを検討し、論文にまとめた(現在投稿中)。
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