Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
「Almagest」を始めとして、7つの古い天文学書の調査をした。研究内容としては、まず7つの文献それぞれから等級のデータを抽出し、その信頼性を調べた。7つの文献全てのデータを相互比較し、観測の独立性を証明、次に現在の実視等級と比較し、その信頓性を調査した。ここまでの研究は論文にまとめ、学術雑誌に投稿、受理されて出版された。更にシドニーで行われたIAU General Assemblyで口頭発表を行った。次に7つの星表それぞれに於ける恒星等級のシステムを検証した。始めに全てのデータを等級別に分け、対応する現在の平均等級と比較した。これらのカタログが編纂された時代は、0等、マイナス等級の概念が無かった為、最も明るい1等星として記録されている星の平均は1.0より暗い方へずれる。更に肉眼で観測出来る限界である6等級は、6.0より暗い星が観測出来ない事と、Malmquist Biasが原因で平均等級が明るい方へずれる。この事から1等と6等は現在の実視等級と対等に比較出来ない事が分かったので、2〜5等級と記録されている星のデータのみを使用し、等級システムを検証する。等級システムがlogarithmか、power-lawに従うかを検証する為、等級データに回帰線を引いてそれぞれの補正χ2を算出した結果、7つのカタログ全てを通じてlogarithmに従う事が分かった。次にそれぞれのカタログに於ける光比を算出し、全てのカタログを通じて現行システムの値にほぼ一致する事が分かった。これらの結果は日本天文学会秋季年会(愛媛大学)で「恒星表相互比較による等級データの検証」、「古文献における恒星の等級システム」というタイトルで口頭発表を行った。更にこれらを論文にまとめ、「Magnitude systems in old star catalogues」というタイトルで学術雑誌に現在投稿中である。
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