Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
代表的な化合物半導体である,GaAs量子井戸におけるスピン緩和現象に着目し,スピン緩和時間の計測を室温にて実行した。本年度は前年度の引き続き(110)面に成長したGaAs量子井戸を分子線エピタキシ法により作製し,実験によりスピン緩和時間を求めた。実験方法はポンププローブ法で,より高感度で測定可能となったため,試料の量子井戸の周期数を60周期から5周期に減らすことができた。以下に,本年度に得られた成果を示す。 1.GaAs井戸幅7.5nmで不純物としてSiを1井戸あたり0.3×10^<12>cm^<-2>だけドーピングした,5周期のGaAs/AlGaAs(110)多重量子井戸(試料名VR417-2)におけるスピン緩和時間を計測した。その結果,励起光の波長を838nm,励起光強度を2.0mWにした場合は5.2±1.4nsと,周期数が5周期に減少しても(100)面に成長した試料に比べて,スピン緩和時間は2桁程度長くなることが分かった。また,スピン緩和時間の励起波長依存性を調べた。その結果,励起波長を短くするにしたがって,スピン緩和時間は長くなることが分かった。 2.ドーピング濃度依存性を調べるために,構造はVR417-2と同じで,ドーピング濃度を1×10^<12>cm^<-2>にした試料(試料名VR420-2)を作製し,スピン緩和時間を調べた。実際の井戸幅は7.5nmからずれてしまったが,スピン緩和時間は832nm,2.0mW励起で1.2nsとなった。 3.井戸層ドープと変調ドープの違いを調べるため,構造はVR417-2と同じで,AlGaAs層のみに0.5×1012cm-2だけドーピングを施した試料(試料名VR419-3)のスピン緩和時間を計測した。こちらも,実際は設計の井戸幅から若干ずれてしまったが,834nm,2.0mW励起で2.0nsのスピン緩和時間を得た。
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